user uploaded photo

手取り減ってない?社会保険料高騰と「2025年問題」の正体

1
削除
飲む牛乳
目次
私たちの生活を支える社会保険制度 なぜ社会保険料は上がり続けるのか?3つの大きな理由 1. 少子高齢化:最大の要因 2. 医療技術の進歩と社会保障給付の充実 3. 保険料率の上昇の歴史 忍び寄る「2025年問題」とは? 政府はどんな対策を考えている? 私たちの手取りはどうなる? まとめ:未来への備え、今こそ考えよう

「あれ、思ったより手取りが少ない…」給与明細を見て、そう感じたことはありませんか?その主な原因の一つが、じわじわと上がり続ける社会保険料です。この記事では、なぜ私たちの社会保険料負担が増え続けているのか、そして目前に迫る「2025年問題」が私たちの生活にどのような影響を与えるのかを、わかりやすく解説します。

私たちの生活を支える社会保険制度

まず、社会保険制度とは何か簡単におさらいしましょう。これは、病気やケガ、高齢、失業といった人生のリスクに備えるための、国全体のセーフティネットです 。主に、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つの柱で構成され、原則として国民全員が加入し、保険料を出し合うことで成り立っています。この相互扶助の精神が、私たちの安心を支えているのです。  

なぜ社会保険料は上がり続けるのか?3つの大きな理由

では、なぜこの大切な社会保険料が、私たちの家計を圧迫するほど高くなっているのでしょうか。主な理由は3つあります。

1. 少子高齢化:最大の要因

日本が直面する最大の課題、それが少子高齢化です 。つまり、子どもが減り、高齢者が増えている状況です。これにより、社会保険料を支払う現役世代が減る一方で、医療や年金、介護サービスを必要とする高齢者が増え続けています。かつては多くの現役世代で一人の高齢者を支える「胴上げ型」でしたが、今や一人の現役世代が一人の高齢者を支える「肩車社会」へと移行しつつあります 。このバランスの崩れが、現役世代一人ひとりの負担増につながっているのです。  

特に、高齢になると医療サービスの利用頻度が高まるため、医療費が増加します 。75歳以上の後期高齢者の一人当たり医療費は、75歳未満の約4倍にもなると言われています 。また、介護が必要な方も増え、介護保険からの給付も増加しています。  

2. 医療技術の進歩と社会保障給付の充実

医療技術の進歩は喜ばしいことですが、高度な治療法や新しい薬は高額になる傾向があります 。これも医療費を押し上げる一因です。  

また、より多くの人が安心して暮らせるように、社会保障のサービス内容が拡充されてきた側面もあります 。例えば、短時間労働者への厚生年金の適用拡大や、子育て支援の強化などです。これらの施策は国民生活にとって有益ですが、その財源を確保するために保険料負担が増えることにもつながります。  

3. 保険料率の上昇の歴史

実際に、主要な社会保険料率は年々上昇してきました。例えば、協会けんぽの健康保険料率(全国平均)は、1947年には3.4%でしたが、2012年には10%に達し、その後も高止まりしています 。40歳から支払う介護保険料も、2000年の制度開始時は0.6%でしたが、2023年には1.82%と3倍以上に上昇しています 。厚生年金保険料率は2017年9月以降18.3%で固定されていますが 、健康保険や介護保険の負担増が全体の負担感を押し上げています。  

忍び寄る「2025年問題」とは?

そして、この社会保険料負担にさらに拍車をかけると懸念されているのが「2025年問題」です。

これは、1947年~1949年生まれの「団塊の世代」と呼ばれる約800万人の人々が、2025年までに全員75歳以上の後期高齢者になることで、医療や介護の需要が一気に跳ね上がり、社会保障制度全体に大きな影響を与える問題です 。  

この問題により、以下のような影響が予測されています。

  • 医療・介護費のさらなる急増:後期高齢者の増加で、医療機関の利用や介護サービスの必要性が格段に高まります 。国の推計では、社会保障給付費全体は2020年度の約132兆円から2040年度には約169兆円に達し、特に医療・介護給付費は約1.5倍の83兆円に膨らむと見込まれています 。2022年度の社会保障給付費実績は約138兆円(医療約49兆円、介護約11兆円、年金約56兆円)となっており 、厚生労働省は2025年度の医療給付費を約45.0兆円と推計しています 。
  • 医療・介護人材の不足深刻化:医師や看護師、介護士などの専門職がさらに不足し、サービスの質や提供体制に影響が出る可能性があります 。
  • 現役世代の負担増:増え続ける社会保障費を賄うため、現役世代の保険料負担や税負担がさらに重くなる可能性があります 。

政府はどんな対策を考えている?

この厳しい状況に対し、政府も手をこまねいているわけではありません。社会保障制度を持続可能なものにするため、様々な対策が検討・実施されています 。  

  • 歳入確保:高所得の高齢者や高所得の現役世代からの負担増(厚生年金保険の標準報酬月額の上限引き上げなど )、パートタイマーなどへの社会保険の適用拡大 といった方法で、保険料収入を増やそうとしています。
  • 歳出抑制・効率化:75歳以上で一定所得のある方の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる措置が既に導入されています 。また、ジェネリック医薬品の使用促進、地域医療構想による病床の機能分化、予防医療の推進などを通じて、医療費の伸びを抑えようとしています 。
  • 「自助」の推進:軽微なリスクは個人で対応するという考え方のもと、市販薬(OTC医薬品)の活用や私的年金の利用を促す動きもあります 。

これらの改革は、制度維持のためには必要かもしれませんが、多くが私たちの負担増につながる可能性をはらんでいます。例えば、後期高齢者の窓口負担増は、対象者の家計に直接影響しますし、社会保険の適用拡大は、新たに対象となる個人や企業の負担増を意味します。

私たちの手取りはどうなる?

社会保険料が上がれば、当然、手取り収入は減ります。例えば、年収400万円(月額約33万円、40歳、独身、東京都在住、協会けんぽ加入と仮定)の場合、年間の社会保険料負担は約57万円(月額約4.8万円)にものぼり、手取り年収は約316万円程度になるという試算もあります 。年収が上がるほど保険料の絶対額も増えますが、収入に占める割合も大きくなります。  

今後も、特に健康保険料や介護保険料は上昇圧力が続くと考えられます 。ただし、支払った保険料は、将来の自分や家族のためのセーフティネットを支えるものです。例えば、厚生年金の標準報酬月額の上限が引き上げられれば、高所得者の保険料負担は増えますが、将来受け取る年金額も増えることになります 。  

まとめ:未来への備え、今こそ考えよう

社会保険料の高騰は、主に少子高齢化という日本の構造的な課題と、それに伴う医療費・介護費の増加が原因です。そして「2025年問題」は、この流れをさらに加速させる可能性があります。

私たちが毎月支払う社会保険料は、確かに大きな負担ですが、万が一の時のための大切な備えでもあります。政府も制度維持のために様々な改革を進めていますが、その内容は私たちの生活に直結します。

この複雑な問題を理解し、自分自身の将来設計や家計管理に活かしていくことが、今、私たち一人ひとりに求められています。

私たちができること・心構え

  • 社会保障制度に関心を持つ:ニュースや公的機関の情報をチェックし、制度がどう変わろうとしているのかを知る。
  • 家計を見直す:固定費の削減や、iDeCoや新NISAなどを活用した資産形成を検討する 。
  • 健康を意識する:健康寿命を延ばすことは、医療費抑制にもつながる。バランスの取れた食事や適度な運動を心がける。
  • 制度の変更点を確認する:特に社会保険の適用拡大などは、働き方にも影響する可能性があるため、最新情報を把握する。

社会保険料の問題は、私たち個人の努力だけでは解決できませんが、現状を正しく理解し、賢く備えることで、変化の時代を乗り越えていきましょう。

1
削除
2025年、物価高はどこまで続く?家計を守る賢い消費と資産防衛術
日本の給料なぜ上がらない?構造問題と2025年個人ができる対策
飲む牛乳
はじめまして!
このユーザーの人気記事
コメント

まだコメントはありません。最初のコメントを書いてみませんか?

コメントを投稿するには、ログインする必要があります。

ページトップへ