【後悔する前に】ペアローンのデメリットと離婚時のリスク&対策
パワーカップルに人気の住宅ローン「ペアローン」ですが、安易に組むと後悔するかもしれません。最大のデメリットは離婚時にあり、返済義務や連帯保証が残る、家を自由に売却できないなど、深刻な問題に発展します。
この記事では、ペアローンの危険な落とし穴と、それを回避するための「公正証書」などの具体的な対策を徹底解説します。
ペアローンとは?メリットと知っておくべきデメリット
ペアローンとは、夫婦がそれぞれ住宅ローンを契約し、一つの物件を購入する方法です。パワーカップルが検討する主な理由と、見落としがちなデメリットを見ていきましょう。
メリット:借入額アップと夫婦それぞれでの節税効果
最大のメリットは、夫婦の収入を合算することで、一人で組むよりも高額な物件を購入できる点です。また、夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用できるため、大きな節税効果が期待できます。
デメリット:諸費用2倍と「離婚時」の大きなリスク
契約が2本になるため、事務手数料や印紙税などの諸費用が2倍かかります。しかし、それ以上に深刻なのが、万が一離婚した場合のリスクです。幸せな時には想像しにくいこのデメリットこそ、契約前に必ず理解しておくべき最重要ポイントです。
【要注意】ペアローンで離婚したらどうなる?5つの悲劇
「私たちに限って離婚は…」と思っていても、万が一の事態は起こり得ます。ペアローンを組んだ夫婦が離婚すると、以下のような悲劇に見舞われる可能性があります。
悲劇①:離婚後も終わらない返済義務と連帯保証
離婚しても、住宅ローンの契約は解消されません。それぞれが自身のローンを返済し続ける義務があり、多くの場合、相手のローンの「連帯保証人」としての責任も残ります。法的に他人になっても、お金の鎖で繋がれ続けるのです。
悲劇②:元パートナーの滞納リスクを負い続ける
もし元パートナーが返済を滞納した場合、連帯保証人であるあなたに金融機関から督促が来ます。あなたが肩代わりして支払う義務が生じ、最悪の場合、家を競売にかけられてしまいます。
悲劇③:共有名義で家が売れない・貸せない「塩漬け」状態に
ペアローン物件は夫婦の共有名義です。売却するには、元パートナーの同意が絶対に必要です。連絡が取れなかったり、感情的な対立で「絶対にハンコは押さない」と言われたりすれば、家を売ることも貸すこともできず、固定資産税だけを払い続ける「塩漬け」不動産になってしまいます。
悲劇④:家を売っても借金だけが残る「オーバーローン」
不動産の売却価格が、夫婦二人のローン残高の合計を下回る状態を「オーバーローン」と言います。この場合、家を売却しても借金だけが残り、住む家を失った後も、元夫婦がお互いに返済を続けなければなりません。
悲劇⑤:ローンが絡み財産分与が泥沼化する
2本のローンと共有名義が絡む財産分与は、非常に複雑で揉める原因になります。「どちらが住むのか」「売却損はどう分担するのか」など、決めるべきことが山積みとなり、協議が長期化・泥沼化しやすくなります。
離婚リスクを回避!契約前にできる3つの対策
これらの深刻なリスクは、事前の対策で軽減できます。幸せな今だからこそ、冷静に話し合っておきましょう。
対策①:【最重要】「公正証書」を作成し、離婚時のルールを決めておく
契約前に、離婚した場合の取り扱いについて話し合い、その内容を「公正証書」として残しておくことを強く推奨します。公正証書は、公証役場で作成する法的な拘束力を持つ文書です。
- 離婚した場合、家は売却するのか、どちらかが買い取るのか
- 売却損が出た場合の負担割合
- ローン返済の分担方法
- 連帯保証を外すための手続きに協力する義務
これらのルールを事前に決めておくことで、万が一の際の紛争を避けるための「保険」になります。作成には弁護士などの専門家に相談するのが確実です。
対策②:頭金を多く入れ、オーバーローンを防ぐ
借入額を減らすことで、将来不動産価格が下落してもオーバーローンになるリスクを軽減できます。自己資金をしっかり準備することが、将来の安全に繋がります。
対策③:ペアローン以外の選択肢「収入合算」も検討する
夫婦の収入を合算する方法には、「収入合算(連帯債務型)」もあります。これは契約が一つで、夫婦のどちらかが主債務者、もう一方が連帯債務者となる方法です。諸費用が1本分で済むほか、団体信用生命保険で夫婦どちらかの万が一の際にローン残高がゼロになるタイプを選べるメリットがあります。ただし、こちらも離婚時には連帯債務の責任が残るため、慎重な検討が必要です。
もし離婚してしまった場合の2つの整理方法
実際に離婚に至った場合、ペアローンの整理方法は主に2つです。
① 不動産を売却してローンを完済する
最もシンプルで推奨される方法です。家を売却し、そのお金で夫婦それぞれのローンを完済します。売却益が出れば財産分与し、ローンが残ればその返済方法を話し合います。
② どちらかが買い取り、ローンを借り換える(一本化)
どちらかが住み続ける場合、もう一方の持ち分を買い取り、金融機関に相談してローンを単独名義で借り換える(一本化する)必要があります。ただし、一人でローン全額を負担できるだけの収入がなければ、金融機関の審査に通りません。
まとめ:パワーカップルこそペアローンの離婚リスク対策を
パワーカップルにとって、ペアローンは理想のマイホームを手に入れるための強力な手段です。しかし、その魅力の裏には、安易に選択すると将来大きな後悔に繋がりかねない、深刻なデメリットが潜んでいます。
特に離婚時のリスクは、精神的にも経済的にも大きな負担となります。契約を結ぶ前に、必ず最悪の事態を想定し、二人で冷静に話し合う時間を設けてください。そして、将来のお互いを守るために「公正証書」を作成しておくことが、賢明なパワーカップルの住宅ローン戦略と言えるでしょう。
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