心理的安全性を高める上司の言動とは?明日から使えるOK/NG行動・言葉遣い30選
「最近、会議で若手から意見が出ないな…」
「部下がミスを報告してくれず、後で大きな問題になることが多い…」
「チームの雰囲気が、なんだかギスギスしている…」
もしあなたがマネージャーとして、このような悩みを一つでも抱えているなら、その原因はチームの「心理的安全性」の低さにあるのかもしれません。そして、その鍵を握っているのは、あなた自身の普段の何気ない言動なのです。
この記事では、Googleの研究でも注目された「心理的安全性」の基本から、チームの可能性を潰してしまう「NG言動」と、メンバーの挑戦と成長を引き出す「OK言動」を、明日からすぐに使える具体的な30のフレーズと共にご紹介します。
そもそも心理的安全性とは?「ぬるま湯組織」との決定的な違い
心理的安全性とは、チームの中で自分の意見や気持ちを、誰からも罰せられたり、恥ずかしい思いをさせられたりすることなく、安心して発言できる状態のことです 。Google社が「生産性が高いチームの最も重要な共通因子」として発表したことで、一躍注目を集めました 。
よくある誤解が、「心理的安全性が高いチーム=仲良しクラブ、ぬるま湯組織」というものです。しかし、これは全く違います。心理的安全性は、単に居心地が良いだけの状態ではありません。むしろ、健全な意見の対立や、失敗を恐れない挑戦を歓迎する土壌のことです 。高い目標に向かってメンバーが率直に意見を交わし、助け合いながら進んでいく。そんな「挑戦的な学習するチーム」の基盤こそが、心理的安全性なのです 。
【NG言動編】部下の心を閉ざす、心理的安全性を下げる上司のNG言動・口癖ワースト15
無意識のうちに、部下の挑戦の芽を摘み、チームの可能性を狭めてしまう言動があります。まずは、あなたが使ってしまっていないか、チェックしてみましょう。
意見・アイデアを潰す言動(「挑戦」「新奇歓迎」の阻害)
部下が勇気を出して出した意見やアイデアを、頭ごなしに否定していませんか?このタイプの言動は、「どうせ言っても無駄だ」という諦めをチームに蔓延させます。
- 「それは無理だよ」: 議論の余地なく、可能性を即座に否定する言葉です 。
- 「前にも言ったけど、それはうまくいかない」: 過去の失敗を持ち出し、新しい挑戦を阻みます 。
- 「まずは自分で考えてから言って」: 相談のハードルを上げ、助けを求めることを躊躇させます 。
- 「新人のくせに生意気なことを言うな」: 立場を理由に発言を封じ込め、多様な視点を失わせます 。
- 「何か良い意見ある?」(と、答えを期待せず形式的に聞く): 活発な議論を期待していない態度が伝わり、メンバーは発言を控えるようになります 。
失敗を許容しない言動(「挑戦」の阻害)
失敗は学びの機会です。しかし、失敗を過度に追及する態度は、メンバーを萎縮させ、挑戦を恐れる文化を生み出してしまいます。
- 「なんでできなかったの?」: 原因究明ではなく、詰問のように聞こえ、相手を追い詰めます 。
- 「誰の責任?」: 犯人探しを始めると、チームは協力ではなく責任のなすりつけ合いを始めます 。
- 「だから言ったじゃないか」: 失敗を責めるだけで、次への学びにつながりません。
- (些細なミスに対して)人格を否定するような叱責をする: 「本当に君は仕事が雑だな」といった発言は、相手の尊厳を深く傷つけます 。
信頼関係を損なう言動(「助け合い」「話しやすさ」の阻害)
上司の感情的な言動や無関心な態度は、部下に「上司の機嫌を取らなければ」という余計なストレスを与え、オープンなコミュニケーションを不可能にします 。
- 気分によって態度がコロコロ変わる: 予測不可能な態度は、部下が常に顔色をうかがう原因になります 。
- 人前で部下を叱責・侮辱する: 公の場での叱責は、相手に恥をかかせ、信頼関係を根本から破壊します 。
- 「こんなこと言いたくないんだけど」と前置きして注意する: 恩着せがましく聞こえ、指摘内容が素直に受け入れられにくくなります 。
- 「じゃあ、担当としてやっておいてね」と丸投げする: 支援の姿勢が見えず、部下は孤独感を感じます 。
- 相談されているのにPC画面から目を離さない: 非言語的な無関心の態度は、「あなたの話は重要ではない」という強烈なメッセージになります 。
- 「それはあなたの仕事でしょ」と突き放す: 協力や助け合いを拒否する態度は、チームワークを崩壊させます 。
【OK言動編】部下が安心して挑戦できる、心理的安全性を高める上司のOK言動・口癖ベスト15
次に、部下の主体性を引き出し、チーム全体のパフォーマンスを向上させるOK言動を見ていきましょう。小さな意識改革が、チームを大きく変えます。
発言を歓迎する言動(「話しやすさ」「新奇歓迎」の促進)
どんな意見でも、まずは「受け止める」姿勢が大切です。それがチームに「何を言っても大丈夫」という安心感を与えます。
- 「いいね!」「おもしろいね!」: アイデアそのものの評価ではなく、発言したこと自体を歓迎する言葉です 。
- 「なるほど、もっと詳しく聞かせてくれる?」: 相手の意見に興味があることを示し、さらなる思考を促します。
- 「〇〇さんからはどう見えているか、教えてもらえる?」: 名指しで意見を求めることで、発言の機会を均等にし、全員参加の雰囲気を作ります 。
- 「たしかに、たしかに」: 相手の話を肯定的に受け止めていることを示し、話を促す効果的な相槌です 。
- 会議の冒頭で「今日はどんな意見でも歓迎します」と宣言する: 発言の心理的ハードルを下げ、自由なアイデアが出やすい場を作ります。
挑戦と失敗を促す言動(「挑戦」の促進)
失敗を恐れずに行動できる環境が、イノベーションを生み出します。リーダーの言葉で、挑戦をチームの文化にしましょう。
- 「まずはやってみよう。失敗は責めない。そこから何を学べるかが大事だから」: 挑戦を奨励し、失敗を学習の機会と位置づける言葉です 。
- 「実は私もこの点は詳しくなくて、一緒に考えたい」: リーダーが自身の弱みや不完全さを見せることで、メンバーも完璧でなくても良いと感じられます 。
- 「挑戦してくれてありがとう」: 結果が出る前に、行動を起こしたこと自体を承認し、称賛します 。
- 「もし何の制約もなかったら、どうしたい?」: 既成概念を取り払い、自由な発想を促すパワフルな質問です 。
支援の姿勢を示す言動(「助け合い」の促進)
「一人で抱え込まなくていい」というメッセージが、助け合いの文化を育みます。日々の感謝と支援の言葉が、信頼の土台となります。
- 「何か困っていることはない?手伝えることがあったら言ってね」: 受け身で待つのではなく、積極的に支援の意思を伝えます 。
- 「〇〇さん、資料作成ありがとう。すごく助かったよ」: 感謝は具体的に、そして頻繁に伝えることが重要です 。
- 「いつでも相談してね。特に〇〇の件で困ったら、すぐに声をかけて」: 「いつでも」をより具体的にすることで、相談のハードルをさらに下げます 。
- 部下の意見に対し「(私は)そう言ってもらえると嬉しいよ」と伝える(Iメッセージ): 「あなた」を主語にするのではなく、「私」を主語に気持ちを伝えることで、相手を責めずに要望を伝えられます 。
建設的なフィードバック
指摘が必要な場面でも、伝え方一つで相手の受け取り方は大きく変わります。相手の成長を願う姿勢が伝わることが重要です。
- (サンドイッチ話法)「〇〇の点は素晴らしかった。ただ、△△はもっとこうすると良くなると思う。今後の活躍に期待してるよ」: ポジティブな言葉で指摘を挟むことで、相手は受け入れやすくなります 。
- 「今回のミスは、君らしくないじゃないか」: 人格ではなく行動への指摘であり、「本来のあなたならできるはずだ」という信頼と期待を伝えることができます 。
まとめ:心理的安全性は、上司の日々の小さな言動から生まれる
チームの心理的安全性を高めることは、特別な研修や大掛かりな制度改革だけで成し遂げられるものではありません。その本質は、リーダーであるあなたの日々のコミュニケーション、一つひとつの言葉遣いや態度の積み重ねの中にあります 。
部下の発言に「いいね!」と反応する。挑戦を「やってみよう」と後押しする。困っている姿に「手伝うよ」と声をかける。そして、チームへの貢献に「ありがとう」と感謝を伝える。
こうした小さなOK言動を意識的に増やし、無意識のNG言動を一つずつ減らしていくこと。その地道な努力こそが、メンバー全員が安心して自分の能力を最大限に発揮できる、最強のチームを育むのです。
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