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言葉にできない「優しさ」は、伝わらない

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香取健一
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「不器用」は、言い訳にならない 現代の男に求められる「優しさ」 背中で語り、言葉で補完する

俺たちの時代は、「言わなくてもわかる」という考えがまかり通っていた。女を大切に思う気持ちも、仕事への情熱も、多くを語らず、黙って背中で示すものだった。だが、今の時代は違う。言葉がなければ、真意は伝わらない。そのことに、俺は恥ずかしながら、遅まきながら気づいた。

「不器用」は、言い訳にならない

若い頃の俺は、女に愛の言葉を囁くのが、どうにも苦手だった。照れくさくて、口に出せなかった。代わりに、汗を流して働く姿を見せることこそが、男の愛情だと信じていた。困っている時に黙って手を差し伸べること、それが不器用な俺なりの優しさだと。

だが、それは本当に「優しさ」だったのか? 女は、俺の背中を見て、俺の心を読み取ってくれたか? 中には、そうしてくれた女もいた。だが、多くの女は、不安を感じただろう。なぜ何も言ってくれないのか。本当に私のことを思ってくれているのか。言葉がなければ、不信感は募る。不器用は、ただの言い訳に過ぎなかったのだ。

現代の男に求められる「優しさ」

今の時代、男が女に何を求めているか、はっきり言わなければ伝わらない。「言わなくてもわかる」は、男の独りよがりだ。

言葉にすれば、安っぽくなるのではないかと、俺もまだそう思うことがある。だが、今の若い男たちを見ていると、そうではないとわかる。彼らは、自分の気持ちを言葉にする。女を褒め、感謝を伝える。そして、不安な時には、「大丈夫だ」と、はっきり言ってやる。

それは、媚びているのではない。互いの心を繋ぎ、信頼関係を築くための、必要な「作法」だ。不器用でもいい。うまく言えなくてもいい。大事なのは、伝えようとする気持ちだ。

背中で語り、言葉で補完する

かつての「男らしさ」を、全て捨てる必要はない。黙って働く姿、頼れる背中。それは、男の変わらない魅力だ。だが、それだけでは足りない。

黙って女の荷物を持つ。それで女は「優しい」と思う。だが、その時に「重いだろうから、俺が持つ」と一言添える。それで、その優しさは、女の心に深く刺さる。

不器用な優しさは、言葉で補完して初めて、真の優しさとなる。

言葉にできない男は、孤独だ。言葉を選び、心を伝える勇気を持て。それが、現代を生きる男に求められる、新たな「男らしさ」だ。

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仕事と、男の「義理」。人間関係の作法
香取健一
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