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【2025年11月】ビットコイン急落の全貌と今後のシナリオ

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みんみん
目次
1.2兆ドル消失の衝撃:市場センチメントは「極度の恐怖」へ 複合的ショックの正体:3つの「ブラックスワン」 1. 米国政府機関閉鎖による「情報の真空」と利下げ観測の後退 2. 米中貿易摩擦の激化:関税ショック 3. AIバブル崩壊懸念の波及 機関投資家の動向:撤退か、好機か? スタンダードチャータード銀行の警告:「アンダーウォーター」のリスク MicroStrategyの逆張り戦略 ETFからの資金流出とテクニカルの悪化 アルトコインの明暗:イーサリアムの苦境とXRPの期待 今後の展望:市場はどこへ向かうのか

1.2兆ドル消失の衝撃:市場センチメントは「極度の恐怖」へ

2025年は暗号資産にとって飛躍の年になると期待されていましたが、11月に入り市場環境は一変しました。10月初旬に記録した史上最高値からわずか6週間で、ビットコイン価格は約30%下落し、心理的な最終防衛ラインと目されていた9万ドルのサポートラインをも割り込みました。

この短期間での下落により、市場全体から失われた時価総額は1.2兆ドルに達します。これはG20諸国のGDPにも匹敵する規模であり、年初からの上昇分の多くを帳消しにする事態となりました。投資家心理を示す「Fear & Greed Index」は急速に悪化し、「極度の恐怖(Extreme Fear)」が市場を支配しています。

今回のビットコイン急落は、単なる利益確定売りではありません。世界経済の構造的な変化と、金融市場全体のリスクオフ姿勢が直撃した結果です。では、具体的に何がこの暴落のトリガーとなったのでしょうか。

複合的ショックの正体:3つの「ブラックスワン」

今回の市場崩壊は、単一の悪材料ではなく、マクロ経済、地政学、テクノロジー分野の懸念が連鎖的に発生した「パーフェクト・ストーム」と言えます。主な原因は以下の3点に集約されます。

1. 米国政府機関閉鎖による「情報の真空」と利下げ観測の後退

市場の不確実性を極限まで高めた最大の要因は、43日間に及んだ米国政府機関の閉鎖(シャットダウン)です。これにより、労働省や商務省が発表する雇用統計や消費者物価指数(CPI)などの重要経済指標の発表が停止・遅延しました。

FRB(連邦準備制度理事会)は、データに基づかない「暗闇の中での航海」を余儀なくされました。経済の実態が見えない状況下で、市場が期待していた12月の利下げ観測は急速に後退。金利低下を前提にバリュエーションが形成されていたリスク資産、特に暗号資産からは資金が流出し、流動性が枯渇する事態を招きました。

2. 米中貿易摩擦の激化:関税ショック

地政学的な緊張も市場に冷水を浴びせました。トランプ政権が中国からの輸入品に対して100%の関税を課すと発表したことは、市場にとって予期せぬ「ブラックスワン」となりました。

この発表は世界経済の分断とサプライチェーンの混乱、ひいてはインフレ再燃(リフレーション)への懸念を引き起こしました。かつては地政学リスクへのヘッジ手段とされたビットコインですが、今回は世界景気の減速懸念が勝り、リスク資産として売られる展開となりました。一部のトレーダーはこの発表を見越して巨額のショートポジションを構築しており、投機的な売り仕掛けが価格崩壊を加速させた可能性も指摘されています。

3. AIバブル崩壊懸念の波及

2025年の金融市場を牽引してきたAIブームへの疑念も、暗号資産市場に影を落としています。ビットコインとハイテク株(特にAI関連銘柄)の相関系数は80%を超えており、NASDAQの動向と強く連動しています。

KlarnaのCEOをはじめとする業界のキーマンらが、AIインフラ投資の過熱感や収益化の遅れについて警鐘を鳴らしたことで、ハイテク株全体が調整局面に入りました。「次のドットコムバブル崩壊」への警戒感が、相関の高いビットコインへの売り圧力として波及しています。

機関投資家の動向:撤退か、好機か?

市場がパニックに陥る中、大口投資家(クジラ)や機関投資家の動きは二極化しています。

スタンダードチャータード銀行の警告:「アンダーウォーター」のリスク

金融機関からは厳しい見通しが示されています。スタンダードチャータード銀行の試算によると、ビットコイン価格が9万ドルを下回った状態が続くと、ビットコインを保有する上場企業の約半数が含み損(アンダーウォーター)の状態に陥るとされています。

これは企業の財務健全性を脅かす問題であり、信用格付けの維持や株主への説明責任から、損失を確定させるための強制的な売却(損切り)を迫られる可能性があります。これが「負のスパイラル」を生み、さらなる価格下落を招くリスクが警戒されています。

MicroStrategyの逆張り戦略

一方で、MicroStrategy(マイクロストラテジー)社とその創業者マイケル・セイラー氏は、強気の姿勢を崩していません。市場が悲観に暮れる中、同社は約8億3600万ドル相当のビットコインを追加購入しました。

今回の追加購入分における平均取得単価は約10万2,000ドルとされており、このポジションに関しては短期的には含み損を抱える形となりますが、同社は「デジタルゴールド」としての長期的価値を信じる姿勢を明確にしています。

ETFからの資金流出とテクニカルの悪化

現物ETF(上場投資信託)の動きも、市場の弱気心理を裏付けています。CoinSharesのデータによれば、11月中旬の1週間だけでデジタル資産投資商品から約20億ドルの資金流出が記録されました。その97%が米国市場からの流出であり、米国の政治・経済の混乱が直接的な要因であることを示しています。

テクニカル分析の面では、短期移動平均線が長期移動平均線を下抜ける「デス・クロス」が出現しました。これは長期的な下落トレンドの入り口を示唆するシグナルとされ、アルゴリズム取引による自動的な売り注文を誘発しました。デリバティブ市場では、10月の暴落時に190億ドル規模のロングポジションが清算されており、買い手不在の状況が続いています。

アルトコインの明暗:イーサリアムの苦境とXRPの期待

ビットコインの急落はアルトコイン市場にも波及していますが、その影響は一様ではありません。

  • イーサリアム(ETH): 3,000ドルを割り込み、ビットコイン以上の苦戦を強いられています。機関投資家の関心が低下しており、多額の資金流出が確認されています。
  • ソラナ(SOL): 相対的な強さを見せており、一部の週では資金流入も記録されています。次世代ブロックチェーンとしての期待が底堅いようです。
  • XRP: 独自の動きを見せています。現物ETFの承認期待やRipple Labsの資金調達ニュースが好感され、下落幅は限定的、あるいは逆行高となる場面も見られました。

今後の展望:市場はどこへ向かうのか

現在、市場参加者の最大の関心事は、これが一時的な調整で終わるのか、それとも長期的な低迷期の始まりなのかという点です。今後の予想として、以下のシナリオが考えられます。

  • 規制とデータの正常化待ち: 本格的な回復には、停滞しているステーブルコイン規制法案(通称CLARITY法など)の進展や、米政府機関の正常化による経済データの開示再開が必要です。不透明感が払拭されるまでは、ボラティリティの高い展開が続くでしょう。
  • 9万ドルの攻防: 9万ドルというラインは、企業の財務戦略上の分岐点です。ここを明確に割り込み回復できない場合、企業による損切り売りが加速し、8万ドル台前半、あるいはそれ以下への調整も視野に入ります。
  • マクロ環境の変化: FRBの金融政策や米中関係の緊張緩和など、外部環境の好転がなければ、リスク資産への資金回帰は難しい状況です。

結論として、2025年11月の急落は、市場構造の脆弱性とマクロ経済への依存度の高さを露呈させました。投資家は、単なる価格変動だけでなく、背後にある世界経済の潮流を慎重に見極める必要があります。

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みんみん
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