aespa紅白出場、ニンニン不在と「隔離」演出の全貌と真相
異例づくしの初舞台、3人体制での「Whiplash」
2025年12月31日、NHKホールのステージに立ったaespaの姿は、本来あるべき4人ではなく3人でした。直前の12月29日に発表されたニンニンの欠席。理由は「インフルエンザ」とされましたが、その背景に巨大な政治的・社会的圧力が存在していたことは想像に難くありません。それでも幕は上がり、彼女たちは最新ヒット曲『Whiplash』を披露しました。
急遽変更されたフォーメーションと「スーパージゼルタイム」
本来4人で構成される緻密なダンスフォーメーションを、本番直前に3人で再構築することは並大抵のことではありません。しかし、カリナ、ウィンター、そしてジゼルの3人は、その欠員を感じさせないほどの圧倒的な力量を見せつけました。
特筆すべきは、楽曲の導入部における演出です。照明が一度暗転し、再びスポットライトが当たった瞬間、センターに立ったのは日本人メンバーのジゼルでした。彼女が不敵な笑みとともにウィンクを放ったその瞬間は、SNS上で「スーパージゼルタイム」と称賛され、この日のハイライトとなりました。通常であればメインボーカルの一角を担うニンニンのパートも、メンバー間で巧みにカバーされ、aespa特有の「鉄の味」とも評される硬質でクールな世界観は損なわれることがありませんでした。
白とベージュを基調とした衣装に身を包み、ミニマルなテクノサウンドに乗せて踊る彼女たちの姿は、会場の空気をも支配するようなオーラを放っていました。逆境においてこそ輝く、aespaというグループの底力が証明された瞬間だったと言えるでしょう。
なぜ炎上したのか?再燃した「きのこ雲」騒動の深層
今回のaespa紅白出場がこれほどまでに批判を浴び、炎上状態となった根本的な原因は、メンバーのニンニンが過去に行ったSNS投稿にあります。しかし、単なる過去の投稿がなぜ2025年の年末になって爆発的な拒絶反応を引き起こしたのでしょうか。
12万筆を超えた反対署名の意味
騒動の発端は、2022年にニンニンが自身のInstagramやファン向けアプリで公開した1枚の写真でした。そこには、爆発の瞬間に立ち昇る「きのこ雲」をリアルに模したインテリアランプが写っており、「かわいいライトを買ったよ」というコメントが添えられていました。
このランプは、一部のECサイト等において「原爆ランプ」「Atomic Bomb Lamp」といった名称で販売されている商品であり、そのデザイン意図が核兵器の使用をモチーフにしていることは明白でした。被爆国である日本において、原爆の象徴を「かわいい」として消費する行為は、歴史的な悲劇を軽視するものとして受け止められます。
出場決定直後からこの画像が拡散されると、ネット上では「公共放送であるNHKに出演させるべきではない」という声が噴出しました。署名サイトChange.orgで立ち上げられた反対署名は、またたく間に賛同者を集め、最終的には12万筆を超える規模に膨れ上がりました。これは単なるアンチファンの活動というレベルを超え、一般的な歴史認識を持つ層からの厳しい視線が注がれていたことを示しています。
「インフルエンザ」発表までのタイムライン
NHK側は当初、定例会見において「所属事務所を通じて本人に侮辱の意図がなかったことを確認した」として、出場に問題はないとの見解を示していました。しかし、世論の反発は収まるどころか激化の一途をたどりました。
街宣活動やNHKへの抗議電話など、批判行動が現実社会へと波及する中、本番2日前の12月29日になって唐突に発表されたのが、ニンニンのインフルエンザによる欠席でした。このタイミングでの発表に対し、多くの人々は「体調不良」という公式発表を額面通りには受け取りませんでした。それは、最悪の事態を回避するための、事実上の「出演辞退」あるいは「隔離」措置であると解釈されたのです。
政治的トリガー:2025年後半の日中関係悪化
2022年の投稿が、なぜ3年も経った2025年末にこれほどの大火となったのか。その背景には、2025年後半に急速に冷え込んだ日中関係という地政学的な要因が横たわっています。
「台湾有事」発言と外交摩擦
2025年11月、日本の高市早苗首相が国会答弁において、台湾有事の際の日本の関与について踏み込んだ発言を行いました。具体的には、台湾海峡の封鎖などが「存立危機事態」に該当し得るという見解を示したのです。
この発言は中国政府を強く刺激し、中国外務省は激しい反発を示しました。その報復措置として、日本への渡航制限や文化交流の停止などが示唆される事態となり、日中間の緊張は一気に高まりました。
こうした外交的な緊張関係が、日本国内における対中感情を硬化させ、中国出身であるニンニンへの批判をより先鋭的なものにした側面は否定できません。「日本に対して敵対的な態度を取る国の出身者が、日本の国民的番組で歌うことへの拒否感」が、きのこ雲騒動を燃料として爆発したのが今回の事態の本質と言えます。aespaは、音楽とは無関係な政治対立の波に飲み込まれてしまったのです。
NHKの苦肉の策:「隔離」されたステージ演出
ニンニン不在で強行された3人でのステージでしたが、その放送内容は極めて異質なものでした。NHK紅白歌合戦といえば、司会者と歌手との和やかなトークや、応援ゲストとの絡みが見どころの一つです。しかし、aespaに関してはそれらが一切排除されていました。
司会者との接触ゼロ、アナウンサーによる曲紹介
aespaの出番において、メイン司会者である有吉弘行や綾瀬はるからが直接曲紹介を行うことはありませんでした。代わりに進行役を務めたのはNHKのアナウンサーであり、ステージ上のメンバーと司会陣が言葉を交わす場面は皆無でした。
さらに、番組オープニングやエンディング、全出演者が並ぶ場面にもaespaの姿はありませんでした。これは明らかに、彼女たちを他の出演者や司会者から物理的・演出的に切り離す「隔離対応」でした。炎上の火の粉が番組全体や他の出演者に及ぶことを防ぐための、NHKによる苦肉の策であったと考えられます。
有吉弘行の「真顔」がSNSで話題に
視聴者が違和感を覚えた象徴的なシーンがありました。アナウンサーがaespaを紹介している際、画面の端に映り込んだ司会・有吉弘行の表情です。普段の柔和な笑顔とは打って変わり、彼は硬い「真顔」で一点を見つめていました。
SNS上では、この表情について「無言の抗議ではないか」「あえて関わらないようにしている」「広島出身の有吉として、複雑な思いがあるのだろう」といった憶測が飛び交いました。真意は定かではありませんが、祝祭の場に似つかわしくないその張り詰めた空気感は、今回の出場がいかに歓迎されざる状況下にあったかを雄弁に物語っていました。
また、番組構成上の皮肉も指摘されました。aespaの直前には、被爆クスノキをテーマにした楽曲が歌われ、平和への祈りが捧げられていました。その直後に、原爆に関連する騒動の渦中にあるグループが登場するというタイムテーブルは、NHKの編成に対する批判をさらに強める結果となりました。
まとめ:それでも彼女たちは「プロ」だった
第76回NHK紅白歌合戦におけるaespaのステージは、終わってみれば「パフォーマンスの勝利」と「演出の敗北」が同居する奇妙な時間でした。
政治的な対立、過去の過ちへの批判、そして12万筆もの署名。これらすべての重圧がのしかかる中で、カリナ、ジゼル、ウィンターの3人は、一言の弁解もせず、ただ音楽とダンスで自分たちの存在を証明しました。ニンニンの不在はファンにとって痛恨の極みでしたが、3人が見せた気迫は、間違いなく一流のエンターテイナーのそれでした。
しかし同時に、この騒動はK-POPというグローバルな文化商品が、歴史や政治という超えられない壁にぶつかった事例としても記憶されるでしょう。「きのこ雲」というシンボルが持つ重みと、それを巡る各国の認識のズレ。そして、それが外交問題と結びついた時の爆発力。
aespaの紅白出場は、エンターテインメントが決して社会から切り離された真空パックの中に存在するものではないという事実を、私たちに突きつけました。今後、彼女たちが日本で活動を続けていく上で、この日の「隔離されたステージ」の記憶は、避けて通れない教訓となるはずです。次は4人揃って、純粋に音楽だけで評価され、心から歓迎されるステージが見られることを願ってやみません。
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