SNSも、採用媒体も、結局は“誰が言うか”がすべて
「SNSも、採用媒体もやってるのに、なぜウチには応募が来ないんだろう?」
中小企業の社長さんと話していると、こんな声をよく耳にします。媒体も出してる、求人票も丁寧に書いてる、条件も悪くない…それなのに応募がまったく来ない。
なぜでしょう?
それ、実は「何を言うか」じゃなくて、「誰が言っているか」が問われてるんです。
伝わっていないのは、情報じゃなくて“あなた自身”
世の中には似たような求人票が溢れています。どれも「やりがい」「アットホーム」「未経験歓迎」「急成長中」って言葉が並んでる。
だけど、求職者の心には響かない。
なぜか。
簡単に言えば、どれも“誰が言ってるか”が見えないからなんです。
求人票は言葉としてはちゃんと書かれている。でも、その言葉の奥にある「温度」や「リアル」や「人柄」が伝わってこない。
つまり、「この会社で働きたい」と思える“きっかけ”がないんです。
たとえば、飲食店で料理の写真だけを見て「美味しそう」と思うことってありますよね。でも、その写真に「この料理を10年つくり続けてきた店主のこだわり」が添えられていたらどうでしょう? きっと、その一言で印象が変わるし、食べてみたいって気持ちが増す。
採用も、まったく同じなんです。
求職者は“会社”じゃなくて“人”を見ている
これは本当に肌感覚として感じるんですが、今の若い人たちは、「社風」や「制度」よりも、「この会社でどんな人と働くのか」を見ています。
そして、その“代表”が誰かっていったら、やっぱり社長です。
SNSやブログで社長が日々の考えを発信している会社には、応募が自然と集まりやすくなります。
なぜなら、「この人のもとで働いてみたい」「この人に会ってみたい」と思えるから。
逆に、どれだけ立派な経営理念や待遇を並べても、社長の顔が見えない会社には、人は集まりません。
「この会社、何をしてるかはわかったけど、誰がやってるの?」
って、そっとブラウザを閉じられるのがオチです。
同じ求人票でも“語り手”が違うと結果が変わる
ある会社の話をします。
社員数7名、地方の住宅リフォーム会社で、長年求人に苦戦していました。ハローワークにも出してる、Indeedも使ってる、でもまったく反応がない。
そこで社長に提案したのが、「SNSであなた自身を出していきましょう」ということ。
最初は戸惑っていました。
「自分なんて出していいのか?」「何を発信すれば…?」って。
でも、「昨日のお客様との会話で感じたこと」や「新人社員とのやり取り」など、日々のリアルな出来事を、等身大で投稿してもらったんです。
すると、徐々に“いいね”や“コメント”がつき始め、ある日ついに応募が来ました。
「投稿を見て、社長の人柄に惹かれて…」という志望動機とともに。
しかも、その方は実際に面接に来て、採用後も定着。現在は主力メンバーとして活躍中です。
ここで重要なのは、「会社の魅力を伝えた」のではなく、「社長のリアルが伝わった」という点。
つまり、「媒体」や「テクニック」よりも、「誰が語るか」が変わったことで、結果が変わったんです。
人は“ストーリー”で動く
人が動く時って、スペックや数字じゃなく、ストーリーなんですよ。
誰が、どんな想いで、どんな過程を経て今の仕事をしてるのか。
それを知ると、「応援したくなる」し、「会ってみたくなる」。
大企業にはない、町の工務店や小さな事務所だからこそ持っている“濃い物語”が、実は一番の武器なんです。
それを活かさない手はありません。
求職者は、条件や待遇だけじゃなく、
「この人と働きたいか?」
「この会社の未来に共感できるか?」
を見ています。
そして、その答えは、社長の言葉にしかありません。
まずは“あなたの声”で発信することから始めよう
じゃあ、何から始めればいいのか?
答えはシンプルです。
「社長が、社長自身の言葉で語り始めること」。
いきなり完璧な発信を目指す必要はありません。
大切なのは、“実際の現場”や“日常の気づき”を、リアルな言葉で伝えることです。
投稿ネタに困ったら、こういうのでも十分です。
・新入社員との雑談で感じたこと
・現場で「嬉しかったこと」「困ったこと」
・仕事に対する自分なりのこだわり
・「うちみたいな会社だからこそ、できること」
大切なのは、“等身大のあなた”がそこにいること。
SNSでもブログでもnoteでも、どこでもいい。
場所じゃなくて、“誰が言うか”が問われている時代なんです。
採用は「発信力」じゃなく「信頼力」
たくさんの発信ノウハウや求人テクニックがありますが、
結局、応募が来るかどうかを左右するのは、「どれだけ信頼されているか」です。
それは見栄えの良い文章より、
想いのこもった一言。
それは上手なキャッチコピーより、
あなただけが語れるエピソード。
求職者が見ているのは、“求人票の裏側”。
つまり、あなたの姿そのものです。
SNSも、採用媒体も、結局は“誰が言うか”がすべて。
その“誰”に、あなた自身がなると決めたとき、
採用の流れは、確実に変わります。
まずは、たった一行から。
あなたの言葉で、あなたの会社の魅力を語ってみてください。
それが、最初の「信頼構築」になるから。
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