2026年確定申告!投資初心者が還付金で損しない税金の基本
「確定申告なんて、自営業の人や大金持ちがやるものでしょ? サラリーマンの私には関係ない」
もしあなたがそう思っているなら、少し立ち止まってください。特に、2024年から始まった新NISAをきっかけに投資を始めた方や、昨年の相場で悔しい思いをして「損切り」をした経験がある方。あなたこそ、確定申告をすることで「お金が戻ってくる」可能性を秘めているのです。
カレンダーは1月15日。2月16日から始まる確定申告の受付まで、あと1ヶ月となりました。この時期は、ちょうど証券会社から年間の取引結果をまとめた報告書が発行され始めるタイミングです。「難しそう」「面倒くさい」と後回しにせず、今から少しずつ準備を始めれば、税金は決して怖いものではありません。むしろ、税金の知識はあなたの投資リターンを底上げする「最強の盾」になります。
この記事では、2026年版として最新の情報を盛り込みながら、投資初心者が最初につまずきやすい税金の基本をわかりやすく解説していきます。
そもそも投資で確定申告が必要なのはどんな人?
まず最初に整理しておきたいのが、「自分は確定申告をしなければならないのか(義務)」、それとも「しなくてもいいけれど、したほうが得なのか(権利)」という点です。ここを混同していると、無駄な税金を払ったり、逆に脱税になってしまったりするリスクがあります。
投資における確定申告のルールは、あなたが証券口座を開設したときに選んだ「口座の種類」によって大きく変わります。
「特定口座(源泉あり)」の賢い使い方
多くの投資初心者が選んでいるのが、「特定口座(源泉徴収あり)」ではないでしょうか。この口座の最大の特徴は、利益が出るたびに証券会社が税金(所得税+住民税で20.315%)を自動的に計算し、天引きして国に納めてくれることです。
この仕組みのおかげで、原則として確定申告は不要です。どれだけ利益が出ても、すでに税金は払い終わっているため、何もしなくても問題ありません。しかし、ここで重要なのが「申告してもよい」という選択肢が残されていることです。
では、あえて面倒な確定申告をするメリットは何でしょうか? それは「払いすぎた税金を取り戻す」ためです。
例えば、A証券の口座で50万円の利益が出て、B証券の口座で30万円の損失が出たとします。
何もしなければ、A証券の利益50万円に対して約10万円の税金が引かれたままです。B証券の損失は考慮されません。
しかし、確定申告をしてA証券とB証券の損益を合算(損益通算)すると、年間のトータル利益は「50万円 - 30万円 = 20万円」となります。本来納めるべき税金は、20万円に対する約4万円だけで済むのです。
つまり、すでに天引きされていた約10万円との差額、約6万円が「還付金」として戻ってきます。これが、源泉徴収ありの口座でも確定申告を検討すべき最大の理由です。
さらに、トータルで損失が残ってしまった場合でも、確定申告をしておくことで、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越すことができます(譲渡損失の繰越控除)。もし来年大きく利益が出ても、繰り越しておいた今年の損失と相殺して、来年の税金を安くできるのです。これは「負け」を「将来の節税チケット」に変える、非常に有効なテクニックです。
ただし、注意点もあります。確定申告をすることで、その利益が「所得」として表面化してしまいます。配偶者控除などの扶養に入っている方や、国民健康保険に加入している方は、所得が増えることで扶養から外れたり、保険料が上がったりする可能性があります。還付される税金と、増える社会保険料負担、どちらが大きいかを天秤にかける必要があります。
「20万円ルール」の誤解と住民税の落とし穴
次に、「特定口座(源泉徴収なし)」や「一般口座」を利用している場合です。ここでは、利益が出ているなら原則として確定申告が必要です。
よく「給与所得以外の所得が20万円以下なら申告しなくていい」という話を聞きませんか? これを「20万円ルール」と呼びますが、ここには大きな落とし穴があります。
このルールは、あくまで国に納める「所得税」に限った話です。住んでいる自治体に納める「住民税」には、このような免除規定はありません。つまり、投資の利益が1万円であっても、住民税の申告は別途行う必要があります。「税務署に行かなくていいから何もしなくていい」と勘違いしていると、後から住民税の申告漏れを指摘されることになりかねません。源泉徴収なしの口座を使っている方は、利益の額に関わらず、何らかの申告手続きが必要だと覚えておきましょう。
2026年申告の注目ポイント!新NISAとスマホ申告
令和7年分(2025年分)の確定申告には、いくつか押さえておくべき最新のトピックがあります。特に2024年から始まった新NISAの影響と、進化し続けるe-Tax(電子申告)について解説します。
新NISAの落とし穴!「損益通算」はできない
新NISA制度が始まって2年が経ちました。非課税枠が拡大され、多くの人が利用していますが、確定申告の視点から見ると、非常に重要な注意点があります。それは「新NISAでの損失は、税務上『なかったこと』にされる」というルールです。
通常の課税口座(特定口座や一般口座)であれば、株を売って損が出た場合、他の利益と相殺(損益通算)したり、損失を繰り越したりできました。しかし、新NISA口座で発生した損失は、他の口座の利益と相殺することができません。
例えば、課税口座で100万円の利益が出ていて、新NISA口座で100万円の損失が出たとします。
お財布の中身としてはプラスマイナスゼロですが、税金の計算上は「100万円の利益」だけが残ります。新NISAの損失は切り捨てられるため、100万円に対してきっちり約20万円の税金がかかります。
「NISAは利益が出れば非課税で天国だが、損をすると税制上の救済措置が一切ない」という厳しい側面があるのです。もし2025年に新NISA口座で損切りをした方がいても、その損失を使って税金を安くすることはできません。確定申告の計算に新NISAの損失を含めないよう、くれぐれも注意してください。
また、新NISA口座で配当金を受け取る際、「株式数比例配分方式(証券口座での受け取り)」を選んでいないと、非課税にならず課税されてしまう点も、改めて確認しておきましょう。銀行振込で受け取ってしまい、税金が引かれているケースが散見されますが、これも後から確定申告で取り戻すことはできません。
iPhoneユーザー歓喜?進化したe-Taxとマイナポータル連携
2026年の確定申告における明るいニュースは、スマートフォンを使った申告(スマホ申告)の利便性がさらに向上していることです。
これまで、スマホでe-Taxを利用する際の一番のストレスは、マイナンバーカードの読み取りでした。ログインのたび、電子署名のたびに、スマホの背面にカードをピッタリくっつけて、動かさないようにじっと待つ……。読み取りエラーでイライラした経験がある方も多いでしょう。
しかし、技術の進歩により、特にiPhoneなどのスマートフォンにおいて、マイナンバーカードの機能の一部をスマホ本体に搭載する「スマホ用電子証明書」の活用範囲が広がっています。これにより、物理的なカードを毎回かざす手間が省け、生体認証などを組み合わせてスムーズに手続きが進むようになっています。
また、「マイナポータル連携」も強力になっています。これは、証券会社や保険会社、銀行などのデータをマイナポータル経由で一括取得し、確定申告書に自動入力する機能です。
2026年1月からは、連携できるデータの対象がさらに拡大しています。これまでは手入力が必要だった一部の保険契約(生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金など)や、iDeCo(個人型確定拠出年金)のデータ連携も強化されています。
証券会社の「特定口座年間取引報告書」も、いまやXMLデータでの連携が当たり前です。数年前のように、紙の報告書を見ながら電卓を叩いて数字を転記する作業は、もはや過去のものとなりつつあります。スマホとマイナンバーカードがあれば、カフェでコーヒーを飲んでいる間に申告が完了する時代なのです。
今すぐ始める!必要書類チェックリストと整理術
仕組みがわかったところで、具体的に今(1月15日)から何をすればいいのでしょうか。直前になって慌てないための「必要書類」と「整理術」をご紹介します。
「年間取引報告書」は郵送を待つな!電子交付の活用
まず確保すべきは、投資の成績表である「特定口座年間取引報告書」です。
以前は1月末頃に証券会社から郵送されてきましたが、現在は資源保護やコスト削減の観点から、原則として「電子交付(Webでの閲覧)」に切り替わっています。郵送を待っていても届かないケースがほとんどです。
今すぐ利用している証券会社のサイトにログインし、「電子交付」や「報告書」のメニューを確認してください。「2025年分 特定口座年間取引報告書」という項目があるはずです(多くの証券会社では1月中旬以降順次公開されます)。
ここで重要なのは、「PDFを印刷する」のではなく、「XMLデータをダウンロードする」か「マイナポータル連携を設定する」ことです。
PDFはあくまで人間が見るためのもの。e-Taxで申告する場合、XMLデータがあれば、ファイルをアップロードするだけで数字がすべて自動反映されます。桁の間違いや入力ミスを防ぐためにも、ぜひ電子データを活用してください。
複数の証券会社を使っている場合は、それぞれの会社でマイナポータル連携の設定を行っておくと、確定申告の作成画面ですべての会社のデータが合算された状態でスタートできます。これが最も時短になる方法です。
領収書はスマホで撮影?デジタル整理のすすめ
投資以外で確定申告に関係する書類も整理しておきましょう。
- 源泉徴収票(給与所得者): 会社から1月中に配布されます。最近はWeb明細で発行されることも多いので、ダウンロードして保存しておきましょう。
- 医療費の領収書: 「医療費控除」を受ける場合、領収書の提出は不要ですが、自宅で5年間保存する義務があります。また、集計のために金額の入力が必要です。1年分の領収書を今のうちに月別に分け、Excelや国税庁が提供している「医療費集計フォーム」に入力してしまいましょう。マイナポータル連携を使えば、健康保険適用分の医療費は自動入力されますが、自由診療や交通費などは手入力が必要です。
- ふるさと納税の証明書: 「寄附金受領証明書」が必要です。これも「ふるさとチョイス」や「楽天ふるさと納税」などのポータルサイトを使っていれば、XMLデータとして一括ダウンロード(チョイススマート確定申告など)が可能です。自治体から送られてくる紙の証明書を保管しておく必要がなくなります。
これらの書類やデータを、「2025年分確定申告」というフォルダを作ってパソコンやクラウドストレージにまとめておく。これだけで、2月16日を迎えたときの心理的ハードルがぐっと下がります。
まとめ:税金の知識は、投資の利益を守る盾
確定申告は、単なる事務手続きではありません。それは、1年間の投資活動を振り返り、ご自身の資産状況を正確に把握する大切な機会です。そして何より、正しい知識を持って申告を行えば、適正な納税を行いつつ、還付金という形で資産を守ることができます。
2026年の確定申告は、デジタル化の恩恵を最大限に受けられる環境が整っています。
「特定口座(源泉あり)」の方も、一度シミュレーションを行ってみてください。損失を繰り越せるかもしれませんし、配当控除を使って税金を取り戻せるかもしれません。逆に、新NISAの損失を通算しようとして計算が合わない、といったミスを未然に防ぐこともできます。
投資で利益を出すことは簡単ではありません。だからこそ、税金の仕組みを理解し、手元に残るお金を1円でも多くする努力が必要です。
1月15日、今日がそのスタートラインです。まずは証券会社のサイトにログインし、年間取引報告書を確認するところから始めてみましょう。面倒な手続きを乗り越えた先には、きっと「知っていてよかった」と思える結果が待っているはずです。
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