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精神科看護師のリアル/患者様と向き合う時の本音と成長

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とわの恵

「どんな患者様にも、寄り添うのがNsの仕事」
と言われていますが、

でも、現実はどうでしょう?

理想と現実のギャップに、
心がついていかない日もあるんです…。

私にとって、今日がまさにそんな日でした。

ある患者様とのやりとりで、
「看護師のプロとしての対応」と
「人としての感情」の間で揺れた話です...。  

もどかしさ

患者様の中には、毎月受診で来る度に
何かしら病院の良くない所を探しては、
文句をつける方がおられます…。


美人でおしゃれ、
モデルさんのような若い女性。

パーソナリティ障害の30代、

この患者様が、外来では有名なA様です。

私達は、彼女が受診日のたびに、
心の準備をしています。

今日は何を言ってくるんだろうと...。

それだけ、
対応がめんど...いや、慎重に、かつ、
自然で普通な対応が求められるからです。

そして、今日の担当は私。

今回、A様は、中待合室に入るなり
「あっちの待合室が、ざわついててうるさいんですけど❗️」
と苦情をおっしゃったので、
スミマセンと謝りつつ中待合室のドアを閉めました。

すると
「そういうことじゃないでしょ...💢」と、
イラっとしたキツい表情で、
ささやくように話しておりました。

その後も
「待合室の椅子がガタついてるんですけど💢」
とおっしゃったので

「どちらの椅子でしょうか」
と尋ねたところ

「そんなもの自分達で探せばいいでしょ❗️」
とお怒りになり、

私は、あ~~やってしまった❗️
と思いました...💧

それはなぜか?

A様の病気自体が、
相手を不快にさせるという特徴があるからです…。

A様は「境界性パーソナリティ障害」
簡単な特徴としては、

  • 相手を試すような言動をする(「本当に私のこと好きなの?」など)
  • 責任転嫁しやすい(「あの人が言ったから」「私のせいじゃない」など)
  • 相手の評価が極端(「すごくいい人!」と言ったかと思いきや、翌日には「人間として最低!」などの発言が見られる。)
  • 「見捨てられ不安」が強く、些細なことでパニックになる
  • 衝動的な行動をとる(無謀な買い物、ギャンブル、危険な行動など)
  • 自傷行為や自〇未遂をすることがある
  • 自己像が不安定で、気分によって自分の価値観が変わる
  • 親しい人を振り回し、周囲の人間関係を不安定にさせる
  • 言葉で相手を操作しようとする(相手を不快にさせたり、罪悪感を与えて思い通りに動かそうとする)

全部がA様に当てはまるわけではなく、                
症状はその患者様によっても違います。

昔は、「厄介な性格の人」「トラブルメーカー」
とされることが多かったのですが、

現在では「幼少期のトラウマや家庭環境の影響」が
関係していると考えられています。

また「パーソナリティの問題」ではなく、
「環境や心理的要因から生じるもの」として
扱われることが多くなりました。

話を中待合室に戻しますね。

A様は診察室に入る際、
更に捨てセリフのように

「椅子に座って待ってたら、
患者さんが近づいて座って来て気持ち悪いんですけど❗️」
と話されました。(椅子の間隔は開けてあります。)

私はその「気持ち悪い」という言葉につい反応してしまい、
怒りがこみ上げ、返事もせずに、
診察室のドアをそそくさと閉めました。

他の患者様達を気持ち悪い呼ばわりしたのが
どうしても許せなかったんです。

「あなたもその中の一人ですけどね」と、
言ってやろうか、とさえ思いました。


「自分は、他の患者達とは違う!」
とでも、思っているんでしょうね…。
そういう方も実際いらっしゃるので...。

確かに
・不眠症で来ている人
・鬱状態で来ている人
・統合失調症の人
・児童思春期の子ども達

様々な患者様がおられ、
表に出ている症状も人それぞれです。


不眠だけでの受診とか、
児童思春期などで来ている親子にとっては、

大声で独語(一人でブツブツ言う)したり、
意味不明なことを話したり、

何かに怒っていたりする姿を見れば、
確かに引くだろうし、怖いと思うはず。


ただ、私個人の思いとしては、
そういう方々、

特に統合失調症の患者様方は、
人に対し悪口や嫌みを言うこともないし、
誰かを陥れようという悪巧みもしない、

ということを知っているので、
この偏見を払拭したいと強く思っていました。

世の中で起きているイジメの方が
よっぽど...(+_+:)

彼らも無意味に怒っているのではなく、
きちんとした理由があってのことなんです。

勘違いで興奮していても、
その理由がわかれば納得し、落ち着きます。

正直に、
ストレートに表現してしまうだけなんです。

人間関係の不器用さが出てしまうんです。

ふだんは、困っていれば助けてくれて、
声をかけたり手伝ったりと、                    
見返りも求めず優しい方が大勢います

その優しさを逆に利用され、
騙されてしまう
こともあるほどです...
悲しいことに。

となれば「A様」の方がよっぽど性格的にも...と
思ってしまいます。

しかし、
その嫌みな所が
A様の病気の症状でもあるんですよね...。

私がイラっとしてしまったことそのものが、
相手の思惑通りになってしまい、
医療者としてはま
だまだな部分だと改めて実感しました。

イライラしてはいけない... 
けど、
イライラしないわけじゃないんです、
看護師も。

看護師と言えど人間、感情の生き物です。

A様のことにしろ
「ハイハイいつものことね」と、

軽く受け流し、
気にせずいれたら、

本当のプロなのでしょうけど・・・。

今回は他の患者様達、
特に統合失調症の患者様達を
バカにするような言動
があったので、

つい許せなくて怒りがわいてしまいました...💧

しかし相手も患者様。

振り回されないぞと思いつつ、
感情的になってしまいました...。

こういう患者様の場合、
いちいち反応せず(大げさな態度をとらない)、

特別扱いもせず、
平然としてふつうに対応するのが一般的です。

今回私は、
人としての感情を抑えるのが厳しかった....。

人として、看護師として、
改めて考えさせられる、出来事でした。

こうやって感情を抑えるのが
大変な日もありますが、

でもこれって、
精神科だけのことじゃなく、
どんな場面でもありますし、
大切なことですよね。

子育てでも、職場でも、人間関係でも...。

『イライラしても、それをどう受け止めるか』
が、大事なんですよね。

精神科には、
A様みたいな患者様ばかりではありません。

生き方、人との関わり方、
日常生活を楽にする方法などが
わからなかったり、

危険だと誤解されがちだけど、
純粋ですごく温かい人たちがいます。

私はそれを知っているから、
精神科が大好きなんですよね~~笑


そういう患者様たちの本当の姿を
もっと知ってもらえたらいいなと
毎日心から願っています。

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うつ病でも、励ましてほしいときがある
とわの恵
精神科Ns歴25年以上。精神科が大好きです。消化器内科・外科の経験あり。子育て4人。思春期の反抗の無い子育て「I love youの子育て」実践。Kindle電子書籍を出版。ベストセラー獲得あり。
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