古くてカッコいい!“レトロ感”が若手を惹きつけるブランディング術
昭和っぽさって、むしろ新鮮?
「うちはもう古臭くてさ、若い子にはウケないよね」
地方の中小企業の社長と話していると、こういう言葉をよく聞く。
でも、ちょっと待って。それって本当に“マイナス”なんだろうか?
たとえば、ボロボロの工場、昭和レトロな休憩所、色あせた看板、そしてベテラン職人の背中…。
一見すると「時代遅れ」に見えるその風景が、いま、若い世代には「かっこいい」と思われてるケースがじつはあるんです。
信じがたい?
いや、これ、感覚のズレなんですよ。
「キレイ・新しい・今っぽい」だけが正義じゃない
若手にアピールするには、最新の設備やIT化が不可欠。
たしかにそれは間違っていない。
でも、それだけじゃないんですよ。
最近のZ世代(1990年代後半〜2010年ごろ生まれ)の価値観を見てみると、実は“レトロ”や“エモさ”への憧れって結構ある。
フィルムカメラ、昭和レトロなカフェ、古着…。
街には「昭和っぽい」をあえて演出した空間がどんどん増えてるし、TikTokでは古い喫茶店がバズったりしてる。
つまり、「懐かしさ」が、彼らにとっては新しくてオシャレなんですよ。
古さ=マイナスって思ってるのは、もしかしたら私たちの方かもしれない。
若手にとっての“レトロ”は、逆に目を引く「ブランド」になりうるんです。
どんな企業が“昭和感”を武器にしてる?
じゃあ実際に、どんな中小企業がレトロ感を活かして若手採用に成功してるのか?
いくつか例を挙げてみましょう。
● 茨城の町工場「使い込まれた道具」に若手が惚れた話
茨城県のとある金属加工工場では、社長が「ウチは古いし、見た目で落とされるかも」と心配してたそうです。
でも、実際に見学に来た大学生たちの反応は逆。
「この機械、ずっと使ってるんですか?ヤバいっすね…カッコいい!」
「めっちゃ味ありますね、この休憩所」
「こういう現場って、なんか“本物感”ありますよね」
結果、そこで働くことを決めた若手が数名出たんです。
「古い=ダサい」はもう終わったんだなと、その社長は笑ってました。
● 老舗印刷会社が、制服とロゴを“あえてそのまま”にした理由
東京の下町にある創業60年の印刷会社は、リブランディングを検討した際、コンサルから「ロゴも制服も古いから刷新しましょう」と言われたそうです。
でも、それを聞いた若手社員から「この制服が逆にイイ」「昔の企業ロゴってグッとくる」と猛反発。
結果、リニューアルを一部だけにして、「古いものを活かす」路線にシフト。
そこからSNSで“老舗×レトロ”の雰囲気がバズって、なんと地元の若者からアルバイト希望が続出。
「変えることがブランディング」じゃなくて、「残すこと」も立派なブランド作りなんですよね。
レトロ感をブランドに変える3つの視点
じゃあ、自社で「レトロ」をどう活かせばいいのか。
ここからは、実際にブランディングに使える3つの視点を紹介します。
①「古いもの」を語れるストーリーにする
古い設備や建物には、必ず背景があります。
たとえば「この機械、創業当時から使ってる」とか「このロゴは創業者が自分でデザインした」みたいな話。
これって、若者にとっては超刺さる。
「物語」を感じられるものに、人は惹かれます。
ただ古いだけじゃなく、それが「なぜあるのか」「どう大切にされているか」を語れると、それだけで価値になる。
面接でも、見学でも、SNSでも。
語れるエピソードは武器です。
② 見た目を“味”として整える
レトロとただのボロは紙一重。
たとえば「年季が入った木の机」は味だけど、「割れてるガラス窓」は単に危ない。
見た目に手を入れることを放棄してはダメ。
大事なのは、“整った古さ”。
喫茶店のレトロな雰囲気って、実はかなり計算されてる。
社内のインテリアや、制服、パンフレットのデザインも「ちょっと古い」をあえて演出すると、印象がガラッと変わります。
「これは昔から大事にしてるんです」という一言とともに、魅力が倍増します。
③ SNSや採用ページで“あえて見せる”
「こんなの恥ずかしくて出せないよ」
そんな場所、実は見せたほうがいいかもしれません。
油の染みついた作業服、年代モノの工具箱、歴史を感じる作業机。
こういうものって、見た目以上に“空気感”を伝えてくれるんです。
今の若者は、雰囲気や空気感をすごく重視します。
映えるとかじゃなくて、「味がある」「リアルっぽい」が響く。
だからこそ、採用サイトやSNSに、日常の中の“昭和っぽさ”を出すことが大事。
いわゆる「キレイに整えすぎないブランディング」も、立派な戦略です。
まとめ:あなたの会社の“昭和感”、宝かもしれません
「古いからダメ」「ウチは時代遅れだから」
そんなふうに思っていた要素が、実は若者を惹きつける“魅力”だったなんて。
ブランディングって、何もゼロから新しいモノを作ることじゃないんですよね。
“すでにあるもの”に、意味づけをしてあげること。
それだけで、「選ばれる会社」に近づいていきます。
最後にもう一つだけ。
「こんな古い会社に若い子なんて来ないよ」って言ってた社長が、ある日こう言ってたんです。
「うち、意外とイケてるのかもしれんな」って。
そんな企業が、これからもっと増えてほしい。
そのきっかけになるなら、この記事を書いた意味があると思ってます。
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