「若手がすぐ辞める会社」に共通する、たった3つの“採用の勘違い”
「せっかく採用しても、すぐ辞めちゃうんだよね」
最近、地方の中小企業の社長からこんな話をよく聞きます。
「面接ではやる気ありそうだったのに…」「入社して3日で来なくなったよ…」
それが一人じゃなく、二人、三人と続いてくると、もう何が悪いのか分からなくなってくる。
わかります。
僕もこれまで採用・人材の現場に関わってきて、そういう声を何度も聞いてきました。
でも、ひとつだけ言えるのは――
「それ、若手のせいにしちゃうと、たぶんまた同じことが起きますよ」ってことです。
若手が辞める理由は、もちろん彼らにもあります。
でも、それ以上に企業側に“ある視点”が抜けていると、毎回同じ結果になるんです。
今回は、そんな“若手がすぐ辞める会社”に共通して見られる「採用の勘違い」を3つ、紹介していきます。
これを読むことで、自社の採用が「惰性」になってないか、見直すきっかけになれば嬉しいです。
1つ目の勘違い:「うちは給与を出せないから、人が来ない」
これは、めちゃくちゃよく聞きます。
「ウチみたいな中小企業じゃ、どうせ大手に勝てないよ」
「やる気のある若い子は、東京に出ちゃうしね」
…その気持ち、めっちゃわかります。
でも、本当にそれが理由なんでしょうか?
実際、給与がそこまで高くないのに、若手が定着してる中小企業もあるんですよ。
むしろ、そっちの方が長く働いてくれる傾向すらある。
じゃあ何が違うかって?
ズバリ、給与以外で「この会社で働く理由」をちゃんと伝えてるかどうか、です。
たとえば、こんな会社がありました。
岡山のとある製造業。大手と比べて給与は平均以下。
でも、社長が面接で語る「創業ストーリー」がめっちゃ熱いんです。
「うちはな、借金からのスタートやった。でも、社員がいてくれたからここまで来れた。これからはその恩返しをする番やと思ってる」
って、目を見て語る。
さらに、入社初日には社長とサシ飯。
1ヶ月目には「○○くん歓迎会 in 社長の家(手作りカレー)」とかやってる(笑)
これ、たまんないですよね。
若手からしたら「この人の下で働きたい」ってなりますよ。
大手に給与で勝てなくても、ストーリーや人間関係で心をつかむことはできるんです。
2つ目の勘違い:「面接でいい子だったのに…」
「明るくて、ハキハキしてて、素直でいい子だと思ったんだけどなぁ」
これ、面接あるあるです。
でも、そもそも“面接”って、その人の“素の働きぶり”を測るのに適した場じゃないんですよね。
だって、面接って“演技の時間”ですから。
たとえば、就活生がSNSで共有してる「受かる受け答えテンプレ」、見たことありますか?
「御社の●●に共感しました!」「成長したいと思っております!」って、どこもかしこも同じテンプレ発言。
その裏では「ホントはまだやりたいこととか全然わかんないけど、とりあえず言っとけ」って子もたくさんいるんです。
つまり、面接で“良い子”に見えたからといって、それが入社後にフィットするかは別の話。
本当に大事なのは、「この人とウチの文化、合うかな?」っていう目線。
スキルや意欲よりも、“価値観”や“日常の振る舞い”を見極めることです。
最近流行ってるのは、面接よりも「1日職場体験」。
リアルな現場を見てもらって、逆に「うちに合わないな」と思ったら辞退してもらう。
それくらい、ミスマッチを減らすことが大事なんです。
3つ目の勘違い:「自社の魅力をガンガンアピールすれば人は来る」
「うちは社員の雰囲気が良いです!」
「働きがいのある職場です!」
「やる気があれば、どんどん挑戦できます!」
……いや、それ、みんな言ってます。
求人票や会社説明でよく見かけるこのフレーズ、実は若手にはほとんど刺さってません。
むしろ「なんか、うさんくさいな」って思われてることも。
若手が本当に知りたいのは、「リアル」なんです。
たとえば、
・実際どんな人が働いてるの?
・1日どんな仕事してるの?
・やりがいもいいけど、地味な作業も多い?
・ぶっちゃけ、社長ってどんな人?
こういうことをちゃんと伝えてる会社は、意外と少ない。
でも、そこをしっかり伝えてる会社には、熱意よりも「納得感」で応募してくる若手が増えます。
「美辞麗句」じゃなくて、「泥臭いリアル」。
それがいま、若手が信用する材料になっているんです。
そろそろ“若手のせいにする思考”はやめませんか?
確かに、最近の若手は価値観が違います。
でもそれって、時代が変わっただけ。
平成初期の若者と、令和の若者が同じマインドなわけがない。
それを「最近の若いもんは…」で片づけてしまうと、何も変わらないまま、また辞められるだけです。
若手を責める前に、「自分たちの採用活動、ちゃんと見直せてるかな?」って問い直すこと。
これができる会社ほど、いい意味で“選ばれる会社”に変わっていけます。
最後に伝えたいこと
若手がすぐ辞める会社には、共通して“採用の勘違い”があります。
でも、それはちょっとした視点のズレでしかありません。
・給与ではなく、ストーリーと関係性で勝負する
・“いい子”ではなく、“自社と合う子”を探す
・ウソなく、リアルな会社像を見せる
この3つができるだけで、採用と定着は大きく変わります。
採用って、企業と人の「出会い」です。
でも、その出会いが“幻”じゃなく“現実”になったとき、若手は根を張ってくれます。
「もう辞められたくない」と思うなら、まずは企業側の姿勢から変えていきませんか?
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