「人が辞めた」ではなく「会社が壊れた」
――人材流出が引き起こす連鎖反応とは?
ある日、ふと気がついたら「あの人、辞めちゃいましたよ」と社員に言われる。
数日後には別の社員が「僕も退職を考えてまして…」と。
そうして少しずつ、でも確実に、会社が静かに壊れていく。
これ、実話です。
しかも今、このシナリオに限りなく近い未来を歩んでいる会社が、全国にゴロゴロあります。
ここで伝えたいのは、「人が辞める」っていう出来事の裏側に、もっと根深い原因と結果がセットで潜んでいるという話です。
その連鎖を止めなければ、気づかぬうちに“会社の崩壊”が進んでしまうかもしれません。
じゃあ、どうすればいいのか?
まずはその構造を知るところから始めましょう。
ドミノ倒しの始まりは、誰かが辞めた日だった
社員が1人辞めただけ。たったそれだけ。
でも中小零細企業においては、その「1人」があまりにも大きな存在であることが多い。
業務の属人化、ノウハウの集中、暗黙知での連携──大企業なら部署全体でカバーできるような仕事が、たった1人に集中しているなんてザラです。
だからその1人がいなくなると、回らなくなる。
残った人は必死にカバーする。
でも、人手は増えない。
なのに、責任と業務量は倍増する。
ここで何が起こるか?
「次に辞める人」が、静かに決まり始めるんです。
どうしてそこまで壊れてしまうのか?
人が辞めたことで組織が回らなくなるのは、表面的な話。
問題の本質は、「辞めた後にどう対応するか」が整備されていないことにあります。
なぜ辞めたのか?
誰が何を引き継ぐのか?
どうやってモチベーションを取り戻すのか?
この“アフターケア”を軽視している企業ほど、見えないダメージを受け続けます。
そしてもうひとつ、じわじわ効いてくるのが「残った社員の心理的負担」。
現場に漂う“どうせまた誰か辞める”という空気。
これが最悪です。
この空気感を放置すると、採用してもすぐ辞める、残ってる社員も無気力、社内コミュニケーションはギクシャク…と、負のスパイラルへ一直線。
言ってしまえば、社員が辞めたことが直接的なダメージなのではなく、
“辞めたことを受け止められない体制”そのものが会社の命取りになるのです。
実際にあった「壊れてしまった会社」の話
都内の小さな設備会社。社員数は10名弱。
ベテランの工事責任者が突然の退職。業務が完全にストップしました。
引き継ぎゼロ、マニュアルなし。社長は「まさかあいつが辞めるとは」と驚くばかり。
慌てて求人を出したものの、採用は不発。
「すぐ来てほしい」→「経験者がいい」→「でも若手がいい」→「給料はそんなに出せない」
…無理ゲーです。
そのうち、営業も辞め、事務員も辞め、最終的に社長が「俺が現場に出るしかない」と言い出す始末。
数ヶ月後には倒産。
原因は「人手不足」と書かれていましたが、実態は「体制崩壊」だったんです。
壊れない組織に必要な“地味だけど効くこと”
じゃあ、何をすれば会社は壊れずにすむのか?
華やかな戦略や一発逆転の施策ではありません。
ポイントは、“地味で見落とされがちだけど、ちゃんと効くこと”の積み重ねです。
・退職者の声を社内にフィードバックする仕組み
・引き継ぎや業務マニュアルを、常に更新する文化
・小さな変化にも気づける、現場との定期的な対話
・採用と定着を同時に考える“仕組み化”
これって、意識していないとどんどん忘れがちなこと。
でも逆にいえば、これさえやっておけば、人が辞めても「会社が壊れない」状態をつくれるんです。
最後に、“今”こそ立ち止まるタイミング
会社が壊れる音って、意外と聞こえないんです。
ガシャーンって一気に崩れるんじゃなくて、
ギィ…ギィ…って、静かに軋みながら壊れていく。
気づいたら人が減っていて、仕事も雰囲気もバラバラになっていた。
そんな未来を防ぐためには、「今」動くしかありません。
求人票を出すのも大事。面接を工夫するのも大事。
でももっと根本にある、“人が辞めても壊れない会社”をつくるための行動、始めませんか?
あなたの会社、静かに壊れてきてはいませんか?
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