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「日本すごい」自国称賛コンテンツとその「気持ち悪さ」の正体

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片桐配慮
目次
なぜ? 自画自賛コンテンツへの「違和感」 Youtubeで急増! 外国人による「日本アゲ」動画のリアル 海外からの冷ややかな視線:「褒められて喜ぶ日本人」はどう見られている? なぜ私たちは「日本すごい」を求めるのか? まとめ:「気持ち悪さ」の先に見えるもの

最近、テレビやYoutubeで「日本ってすごい!」と称賛するコンテンツをよく見かけませんか? 日本の文化、技術、国民性などが、これでもかと褒めちぎられる。確かに、自国が評価されるのは嬉しいことかもしれません。でも、その一方で、なんだか「気持ち悪い」「違和感がある」と感じている人も少なくないのではないでしょうか 。  

この記事では、その「気持ち悪さ」の正体に迫ります。なぜ私たちは、自国を褒めるコンテンツに素直に喜べないことがあるのか? 外国人による日本称賛には、どんな背景があるのか? そして、海外からはどんな目で見られているのか? 一緒に考えていきましょう。

なぜ? 自画自賛コンテンツへの「違和感」

「日本スゴイ」系の番組が増えたな、と感じている人は多いでしょう 。でも、手放しで「素晴らしい!」と思えないのはなぜでしょうか。  

1. それ、本当の話? 誇張と現実のギャップ
まず挙げられるのが、内容の信憑性への疑問です 。日本の良い面ばかりを切り取り、大げさに表現しているのではないか? 都合の悪い現実は隠されているのではないか? 私たちが日々感じている現実と、メディアが描く「素晴らしい日本」との間にズレがあると、「嘘っぽい」と感じてしまうのも無理はありません。  

2. ちょっとやりすぎ? 過剰な自国愛と視野の狭さ
自国を褒めること自体は悪くありません。しかし、それが度を超すと、他国への配慮を欠いた、独りよがりな見方につながる危険性があります。例えば、スポーツ中継で、勝った自国選手を称賛するあまり、負けた相手選手を軽んじるような表現があれば、多くの人が不快に感じるでしょう 。ある番組が、体操で銀メダルを取った中国選手を笑いものにするような編集をして批判が殺到した事例は、称賛が行き過ぎた時の問題点をはっきりと示しています 。こうした経験から、「日本アゲ」が排他的なナショナリズムにつながるのではないか、という懸念が生まれるのです。  

3. 自信のなさの裏返し? 不安が生む称賛への渇望
「すごい」と褒められたい、特に外国人から認められたい、という欲求が強いのは、もしかしたら日本の現状に対する不安感の表れなのかもしれません。経済的な停滞や国際的な影響力の変化など、失われた自信を、外部からの承認によって埋め合わせようとしているのではないか、という見方です。この視点に立つと、過剰な称賛は、むしろ根底にある不安を映し出しているように見えます。

4. もうお腹いっぱい… コンテンツ飽和への「疲れ」
単純に、同じような「日本すごい」コンテンツが多すぎて、飽き飽きしている、という声もあります。どんなに良い内容でも、毎日毎日、同じような話ばかり聞かされれば、うんざりしてしまうのは自然なことです 。大谷翔平選手の報道が過熱した時に「またオオタニサンか」という声が出たように 、「日本アゲ」も、その内容以前に「量が多すぎる」ことで、受け入れられにくくなっているのかもしれません。  

制作者側は「日本すごい」を意図していない、むしろそういう番組は好きではない、と語っていても、結果的に日本の良さを強調する内容になってしまうこともあるようです 。制作者の意図と視聴者の受け止め方にギャップがあるのか、それとも番組作りの構造自体が称賛に偏りやすいのか、考えさせられる点です。  

Youtubeで急増! 外国人による「日本アゲ」動画のリアル

Youtubeに目を向けると、日本在住や日本を訪れた外国人が発信する「日本すごい!」動画が花盛りです。彼らは、日本のマナーの良さから公衆トイレの清潔さまで、熱心に褒め称えます 。テレビ番組とは違う、ストレートな熱量を感じることもあります 。テレビでも、来日した外国人が母国との違いに驚き、「すごい!」と感動する様子を追う番組は人気です 。  

しかし、ここにも疑問の声があります。「日本を褒めれば再生数が伸びる」という現象を利用しているのではないか? という見方です。

「褒めればウケる」は本当か?
外国人クリエイターが日本を称賛するのは、本当に心からの感動だけでしょうか? Youtubeでは、再生回数や「いいね」の数が、広告収入や人気に直結します。日本の視聴者が「外国人から褒められたい」と思っている層に狙いを定め、彼らが喜ぶような「日本アゲ」コンテンツを戦略的に作っている可能性は否定できません。

お決まりのパターン? よく見る称賛ポイント
外国人による「日本アゲ」動画には、よく登場するテーマがあります。コンビニや自販機の便利さ、治安の良さ、人々の礼儀正しさ、ラーメンや寿司のおいしさ、お寺や神社の美しさ…。これらは確かに日本の魅力の一部ですが、繰り返し語られることで、ある種の「お決まりのパターン」になっている感もあります 。  

本音と戦略のあいだ
外国人クリエイターの「ストレートな」語り口は、時に「本物」らしく感じられます 。この「本物っぽさ」が、コンテンツの魅力を高めているのかもしれません。たとえ再生数を伸ばす戦略があったとしても、心からの称賛のように見せることで、より多くの視聴者を引きつける。そこには、称賛コンテンツを作る外国人クリエイターと、それを見て満足する日本の視聴者との、ある種の「持ちつ持たれつ」の関係が生まれている可能性があります 。  

この構造は、クリエイターが日本に対して批判的な意見や、もっと複雑な現実を語ることをためらわせるかもしれません。否定的なことを言うと、視聴者から反発されたり、再生数が落ちたりするのを恐れるからです。ある動画制作者が、食べ物の味に正直な感想を言うと反発を買いそうだと示唆したように 、クリエイターが自己検閲してしまい、結果的にポジティブな内容ばかりが溢れる、という状況を生んでいる可能性も考えられます。  

海外からの冷ややかな視線:「褒められて喜ぶ日本人」はどう見られている?

しかし、日本に対する外国人の見方は、称賛ばかりではありません。「日本アゲ」の風潮やコンテンツに対して、もっと冷静で、時には批判的な目も向けられています。

「演出された称賛」は見抜かれている?
特に日本に長く住んでいたり、日本について深く知っていたりする外国人の中には、一部の「日本アゲ」動画が、視聴者の歓心を買うための誇張や演出であることを見抜いている人もいます。彼らは、コンテンツ制作の「ビジネス」としての側面を冷静に見ています。

表面的な称賛への疑問
「清潔だ」「礼儀正しい」といった表面的な称賛ばかりが繰り返され、ジェンダーの問題、長時間労働、外国人への排他性といった、日本社会が抱えるより深刻な問題が見過ごされている、という批判もあります。

「褒められて嬉しい」はナイーブ?
そして、最も耳が痛いかもしれないのが、「外国人からの称賛を鵜呑みにして喜んでいる日本人は、少しナイーブではないか」という冷ややかな視線です。ある外国人(X氏)は、日本人が外国人からの「お世辞」を真に受けていては「対等に扱われていない」「足をすくわれる」と警告しています 。安易な称賛を受け入れることで、かえって国際的に「ナメられている」(軽く見られている)のではないか、という厳しい指摘もあるのです 。これは、私たちが求めていた「冷ややかな意見」そのものであり、良かれと思って称賛を受け入れることが、逆に日本の評価を下げかねないという皮肉な現実を示唆しています。  

なぜ私たちは「日本すごい」を求めるのか?

「日本アゲ」コンテンツがこれほどまでに求められ、作られる背景には、現代日本社会が抱える、より深い要因があるのかもしれません。

長引く経済の停滞や、変化する国際社会での立ち位置に対する漠然とした不安感。そうした中で、文化や社会の「素晴らしさ」を再確認し、外部からの承認を得ることで、自信を取り戻したい、安心したい、という集合的な心理が働いているのではないでしょうか。特に、外国人からの称賛は、「お墨付き」を得たような感覚を与えてくれるのかもしれません 。  

また、テレビやYoutubeといったメディア自体が、分かりやすく、感情に訴えかけ、ポジティブなメッセージを持つコンテンツを好む傾向があることも、この流れを後押ししています。「日本アゲ」は、商業的にも成功しやすいため、作り手にとっても魅力的なテーマなのです。

しかし、こうした自己称賛や外部からの承認に頼りすぎることは、社会が抱える本当の問題から目をそらし、解決を遅らせてしまう危険性もはらんでいます。

まとめ:「気持ち悪さ」の先に見えるもの

「日本アゲ」コンテンツへの違和感や「気持ち悪さ」は、単なる個人的な感情ではなく、この現象が持つ複雑な側面――誇張や演出への疑念 、排他性への懸念 、商業主義的な動機 、そして海外からの冷ややかな視線 ――に対する、私たちの無意識の反応なのかもしれません。  

大切なのは、こうしたコンテンツを鵜呑みにせず、「なぜ今、これが求められているのか?」「この称賛の裏には何があるのか?」と、一歩引いて考えてみることではないでしょうか。自国の良い点を知ることは大切ですが、同時に、課題にも目を向け、建設的な議論をしていく。そのバランス感覚こそが、今の私たちに求められているのかもしれません。

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