“家族のために”始めた副業が、“家族との溝”を生む前に
「やってみようかな」と思った、ただそれだけのはじまり
あの日、たまたまYouTubeで見かけたのは「会社に依存しない働き方」という動画だった。
正直、それまで副業なんて自分とは縁のない話だと思ってた。
でも気づけば最後まで動画を観て、気がついたら「副業 おすすめ」と検索してた。
いや、もちろん動機はシンプル。
子どももこれからお金がかかるし、老後の不安もあるし、なんならもう少し自分の可能性を試してみたい。
そんな気持ちのミックスだった。
「家族のためになるなら、やってみてもいいかもしれないな」
そう思ったのが始まり。
でも今思えば、このときちゃんと「家族」と向き合っていれば、もう少し違ったスタートが切れたのかもしれない。
いつの間にか、目を合わせる回数が減っていた
副業を始めてからというもの、夜はパソコンに向かう時間が増えた。
家族と一緒にいるはずのリビングで、ひとりだけ違う空気をまとうようになる。
子どもが話しかけてきても、「今ちょっとだけ待ってね」と返してしまう。
妻の「ちょっと話せる?」に対しても、「あとで」と言ってしまう。
「あとで」って、いつなんだ?
そんな声が頭のどこかに浮かんでも、無視していた。
だって、自分は“家族のために”やっているつもりだったから。
だけどある日、娘がつぶやいた。
「パパ、いつも忙しそうだね」
胸がギュッと締めつけられるような、その言葉。
まるで氷水を頭からかけられたような気持ちだった。
言葉にしないと、伝わらないことばかりだった
「これは家族のためなんだよ」って、勝手に思っていた。
でも、その“思い”は、誰にも届いていなかった。
話してなかったから。
正確に言えば、「俺が頑張れば、結果が出れば、いずれ分かってもらえる」と思ってた。
でもそれって、会社でよくある「プロセスを評価しない文化」と同じだった。
家族にまで、そんなコミュニケーションをしていたなんて、自分でもショックだった。
改めて、家族に伝えてみた。
「ちょっと時間をもらって、副業に挑戦してみたい。もちろん家のことも大事にしたい。だから相談させて」
すると妻が少し驚いたように言った。
「そんなふうに言ってくれたの、初めてかもね」
その瞬間、ようやく“スタートライン”に立てたような気がした。
大切なのは、完璧な時間配分じゃなかった
副業と家族、どちらも大切にしたい。
でも、1日は24時間しかない。
だから僕が意識したのは、「時間の長さ」よりも「質」だった。
例えば、夜の仕事時間を1時間減らして、家族と夕飯のときに“スマホをいっさい触らない”ルールをつくった。
たったそれだけで、家族の会話が増えた。
子どもの表情が明るくなった。
週末も、1時間だけ朝早く起きて副業をやって、残りはしっかり家族と過ごすようにした。
「何かを我慢してる」んじゃなくて、「今を一緒に楽しむ」ことを選ぶ。
そんな感覚に変わった。
そうすると不思議と、副業の時間にも集中できるようになった。
短いけど、濃い時間。
効率よりも、意識のスイッチの方が大事だった。
応援される副業には、“関係性のアップデート”が必要だった
今では、副業について家族と話すことが日常になった。
「今日は何してたの?」
「売れたの?すごいじゃん!」
「応援してるからね」
そんな言葉が飛び交うのは、本当にありがたい。
でも、それは勝手に手に入ったものじゃなかった。
一度、向き合って、話して、時間をつくって、信頼を積み直して、ようやく得られたものだ。
副業で自由を手に入れる、ってよく言うけど、
その自由の下に「誰かの犠牲」があるのなら、それは不自由だと僕は思う。
家族に応援されること。
それは、成果よりも、もっと前のステップにあった。
「一緒に進んでいる」と思ってもらえるかどうか。
それだけだったのかもしれない。
最後に、今このページを読んでいるあなたへ
もし今、副業を始めたいと思っているなら。
もしくは、もう始めていて、ちょっと家族との距離を感じているなら。
一度、立ち止まって、こう問いかけてみてほしい。
「家族は、自分のこの挑戦をどう感じているだろう?」
思いを伝えるのに、資格も技術もいらない。
ただ、あなたの言葉があればいい。
きっと、想像以上に温かい言葉が返ってくるはずだから。
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