【プロ直伝】賃貸収納で失敗しない!内見で見るべき7つの鉄則
その収納、本当に「使える」?
新しい部屋を探すとき、多くの人が日当たりの良さや駅からの距離、そして家賃に注目します。もちろん、それらは快適な生活を送る上で非常に重要な要素です。しかし、それらと同じくらい、いや、住み始めてからの日々の満足度を大きく左右するにもかかわらず、意外と見落とされがちなのが「収納」です。
「クローゼットが広いから大丈夫だろう」と安易に考えて契約したものの、いざ荷物を入れてみると「手持ちの収納ケースが収まらない」「奥行きがなさすぎてコートが窮屈」「なんだかカビ臭い…」といった問題に直面した経験はありませんか?
物件情報に書かれた「ウォークインクローゼット(WIC)付き」という魅力的な言葉に惹かれたものの、実際はただの「歩けるだけの物置」で、湿気がこもりやすく、デッドスペースだらけだった、という悲劇も少なくありません 。
この記事では、そんな「収納選び」での後悔をなくすため、不動産のプロが内見で必ずチェックする「7つの鉄則」を徹底解説します。単なる「広さ」という一面的な見方から脱却し、あなたの暮らしに本当にフィットする「使える収納」を見抜くための視点を手に入れましょう。
鉄則1:寸法を制する者は収納を制す!「測る」が基本
内見の際に絶対に忘れてはならない持ち物、それは「メジャー」です 。感覚で「広い」「狭い」を判断するのではなく、具体的な数値で収納スペースを把握することが、失敗を防ぐ第一歩です。
まず、クローゼットや押入れ、下駄箱など、すべての収納スペースの「幅・奥行き・高さ」を計測しましょう 。特に見落としがちなのが「奥行き」です。一般的なクローゼットの奥行きは約45cmから60cmですが、押入れの場合は約80cm以上あります 。あなたが今使っている、あるいは購入予定の収納ケースが、そのスペースに本当に収まるのかを確認することが重要です。特に、押入れ用の奥行きが深いケース(約74cm)は、浅いクローゼットには絶対に入りません 。
次に、ハンガーパイプの「高さ」です。冬物のロングコートやワンピースをストレスなく掛けたいなら、床からパイプまでの高さが最低でも160cmは必要です 。メジャーを当てるだけで、入居後の「こんなはずじゃなかった」を確実に防げます。
鉄則2:五感で探れ!カビと湿気のサインを見逃すな
どんなに広くても、カビや湿気がひどい収納は健康を害するだけでなく、大切な衣類や持ち物を台無しにしてしまいます。収納の「質」は、五感をフル活用してチェックしましょう。
まず、収納の扉を開けたら、深呼吸してみてください 。ツンと鼻をつくカビ臭さや、ジメっとした湿気の匂いは危険信号です。特に、窓のない北側の部屋のクローゼットや、水回りの収納は要注意です。
次に、スマートフォンのライト機能を使い、収納の奥や四隅を徹底的に照らして目視で確認します 。壁紙のシミや黒ずみ、結露の跡がないか、探偵になったつもりで隅々までチェックしましょう 。換気扇や小窓が設置されているかも、湿気対策の重要なポイントです 。
鉄則3:暮らしをシミュレーション!「動線」が命
収納は、単体で存在するものではなく、日々の生活の流れ、つまり「動線」の一部です。使いやすい収納かどうかは、実際にその部屋で暮らす自分を想像することで見えてきます。
例えば、収納の扉です。クローゼットの扉を全開にしたとき、廊下や通路を完全に塞いでしまったり、置こうと思っていたベッドや机と干渉したりしないでしょうか ?毎日の開け閉めがストレスになるような設計では、次第にその収納は使われなくなってしまいます。
また、「洗濯動線」をシミュレーションしてみるのも非常に有効です 。洗濯機置き場からベランダなどの物干しスペース、そして乾いた衣類をしまうクローゼットまでの一連の流れがスムーズに行えるか、実際に部屋の中を歩いてみましょう。この動線が複雑だと、毎日の家事が大きな負担になってしまいます。
鉄則4:憧れのWICに潜む「4つの罠」を見抜け
ウォークインクローゼット(WIC)は、多くの人にとって憧れの設備です。しかし、賃貸物件のWICには、契約前に知っておくべき「罠」が潜んでいることが少なくありません。
1. 換気の罠: 窓や換気扇がないWICは、湿気がこもりやすく、カビの温床になりがちです 。衣類から出る湿気や、一度着た服をしまうことで、あっという間にカビが発生する可能性があります。
2. デッドスペースの罠: 「2畳のWIC」と聞くと大容量に感じますが、その面積には人が歩くための通路部分も含まれています 。この通路は実質的な収納スペースにはならず、思ったほど物が入らない原因になります。
3. レイアウトの罠: 収納力はハンガーパイプや棚のレイアウトで決まります。壁一面だけの「I型」は奥行きのあるクローゼットと大差なく、角が使いにくい「L字型」もデッドスペースが生まれがちです 。
4. 照明の罠: WIC内は薄暗いことが多く、奥にしまった服の色や状態がよくわからないケースがあります 。中でコーディネートを考えたい人にとっては、致命的な欠点になり得ます。
鉄則5:棚とポールは「固定」か「可動」か?
クローゼットや押入れに備え付けられている棚やハンガーポール。これが固定式か、高さを変えられる可動式かは、収納の使い勝手を大きく左右する重要なポイントです。
固定式の棚やポールは、自分の持っている服や収納したい物のサイズと合わない可能性があります 。例えば、「ワンピースを掛けたいのにポールの位置が低すぎて裾が床についてしまう」「収納ケースを置きたいのに棚板が邪魔で入らない」といった事態です。
内見時には、棚やポールが可動式かどうかを必ず確認しましょう。もし固定式の場合は、その高さや位置が自分のライフスタイルに合っているか、メジャーで測って具体的に確認することが後悔を防ぎます。
鉄則6:照明とコンセントは「未来への投資」
収納スペースの中に照明やコンセントがあるかどうかも、見落としがちですがチェックしておきたいポイントです。
まず照明ですが、WICはもちろん、奥行きのある押入れやクローゼットでも、中に照明がないと奥の物が見えず、結局「開かずの間」になってしまうことがあります 。
そして、意外と重要なのがコンセントの有無です 。収納内にコンセントがあれば、湿気対策のための除湿機を設置したり、扉を開けると自動で点灯するセンサーライトを取り付けたりと、後から収納環境を劇的に改善できます。また、電動自転車のバッテリーや掃除機などを充電するスペースとしても活用でき、生活の利便性が格段に向上します。
鉄則7:壁は語る!「強度」と「状態」をチェック
最後に、収納スペースの「壁」にも注目しましょう。これは、現在の使い勝手だけでなく、将来的なカスタマイズの可能性を探るためです。
もし将来、突っ張り式の棚(ディアウォールなど)を設置して収納を増やしたいと考えているなら、壁がそれを支えられるだけの強度を持っているか、軽く叩いて確認してみましょう 。コンコンと軽い音がする壁は、重いものを支えるのには向いていないかもしれません。
また、退去時のトラブルを避けるためにも、壁紙の傷や汚れ、画鋲の跡などを入居前にチェックし、気になる箇所は写真に撮っておくことが賢明です 。これは、あなたがつけた傷ではないことを証明するための重要な証拠となります。
まとめ:理想の暮らしは「賢い収納選び」から
物件選びにおいて、収納は単なる「物をしまう場所」ではありません。それは、あなたの持ち物を管理し、生活動線をスムーズにし、日々の暮らしを快適にするための重要な「システム」です。広さという数字だけに惑わされず、今回ご紹介した7つの鉄則を武器に、あなたのライフスタイルに本当に合った収納を見つけてください。
最後に、内見でチェックすべき重要なポイントをまとめます。
- 「測る」を徹底する: 内見には必ずメジャーを持参し、収納の寸法と手持ちの家具・収納ケースのサイズを照らし合わせましょう。
- 五感を信じる: 扉を開けて匂いを嗅ぎ、ライトで隅々まで照らして、カビや湿気のサインを見逃さないようにしましょう。
- 暮らしを演じる: 扉の開閉や洗濯動線など、実際の生活をシミュレーションして、使い勝手を確認しましょう。
- WICは要注意: 「換気」「デッドスペース」「レイアウト」を冷静に評価し、憧れだけで判断しないことが重要です。
- 柔軟性を見る: 棚やポールが可動式か、コンセントはあるかなど、将来的な使いやすさや拡張性もチェックしましょう。
これらのポイントを心に留めておけば、きっとあなたは「収納で後悔しない」物件選びができるはずです。理想の部屋で、すっきりと快適な新生活をスタートさせましょう。
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