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その「普通」は、もうどこにも売ってない。

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Sakura.

東京のマンションに帰ってきて、ようやく呼吸ができるようになった気がする。
静寂と、適温に保たれたこの部屋。
数時間前まで私がいたあの場所――湿っぽい昭和の空気が澱む実家とは、まるで別の惑星みたいだ。

結局、今年も「不快」を確認しに帰ったようなものだった。
こたつ、みかん、そしてデリカシーのない親戚たちの酔っ払った顔。
思い出すだけで、胃のあたりが重くなる。

案の定、酒の席で始まったのは、恒例の「結婚ハラスメント」だった。
「サクラちゃんもいい歳なんだから」
「早くいい人見つけて、孫の顔を見せてやらないと」 

あーあ。
適当に愛想笑いで流して、さっさと東京に戻るつもりだったのに。
「贅沢を言ってるから結婚できないんだ」というおじさんの言葉が、私の導火線に火をつけてしまった。

「贅沢? 違いますよ。『生存できない』って言ってるの」

静まり返る食卓で、私はスマホを取り出して突きつけてやった。

「おじさんたちさ、今の30代男性の年収分布、見たことある? よくニュースで見る『平均年収』なんて数字、一部の富裕層が引き上げてるだけの上澄みだからね。見るべきは中央値よ」

画面上の現実的な数字(あまりに低い!)を見せつける。
でも、彼らはまだピンときていない顔をしている。だから、さらに追い打ちをかけてやった。

「ていうか、百歩譲ってその『平均年収』があったとしてもね、今の日本じゃそんなの『貧困』と紙一重なのよ。手取りでいくらになるか計算できる? 社会保険料、税金、物価高……。それで家賃払って、子供の教育費出して、どうやって『普通の生活』を送るの?」

「そ、それは……工夫すれば……贅沢しなければ……」

「だから、その『贅沢』って何?」

私は鼻で笑って、冷たく言い放つ。

「今のスーパーでキャベツ一玉いくらか知ってる? 月2万や3万の食費でまともな栄養が摂れると思ってるの? おじさんたちの言う『節約』って、私たちに『栄養失調になれ』って言ってるのと同じなんだけど」

彼らの顔色がどんどん悪くなる。でも、もう止まらない。

「それにさ、『稼ぎが足りないなら共働きすればいい』って顔してるけど。それってつまり、女に男並みに稼がせた上で、さらに家事も育児もやれってことでしょ? 女をなんだと思ってるの? 高性能な家政婦か何か?」

「金も出せない、家事もできない、ただプライドが高いだけの男の世話をするほど、私、暇じゃないのよ。そんな『ハズレくじ』引くくらいなら、一人で稼いで自分のために使うほうが百倍マシ」

食卓は、完全にお通夜状態だった。
誰も反論できない。いや、理解が追いついていないのだ。
彼らの脳内にある「昭和の幸福論」が、令和の経済状況では維持不可能な「ファンタジー」だという事実に。

帰り際、玄関で靴を履きながら、背中に向かって最後に言い捨ててやった。

「アップデートできない人間しか残ってないなら、こんな町、滅びたほうがいいよ。だからネットで『さす九』なんて馬鹿にされるんだって、いい加減気づいたら?」

東京の夜景を見下ろしながら、改めて思う。
あんな「地獄」から逃げ出して正解だった。
私は私の城を守る。
理解力のない老人たちと、稼げない男たちがいない、この場所で。

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正直書く価値もないと思ったけれど。 ゴミみたいな動画を見かけたので書くことにした。
Sakura.
差別や争いは嫌い。私たちはただ、静かに息をしたいだけ。そこに『正論』も『反論』もいりません。ここは、言葉にできない痛みを分かち合える人たちだけの避難所。理解しようとしない外野の声は届かない場所で、あなたとだけ優しくつながっていたいと願います。
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