無知は罪。初めての引越しで不動産屋の言いなりになり、20万円ドブに捨てた話
新しい生活への期待に胸を膨らませ、不動産屋の重い扉を叩いたあの日。私は「お客様」として丁重に扱われていると信じ切っていました。しかし、実際には「何も知らない、格好のカモ」として、彼らの巧妙なビジネスモデルの中に放り込まれていたのです。
結果からお話ししましょう。私はその引越しで、本来支払う必要のなかった費用を合計で約20万円も支払っていました。
当時の私には、見積書に並ぶ難解な用語を疑う知恵も、担当者の「皆さん払っていますよ」という言葉を跳ね返す勇気もありませんでした。この記事では、私がどのようにして20万円を失ったのか、その生々しい内訳と、そこから学んだ教訓をすべてお話しします。
「お任せします」という言葉が招いた悲劇
当時の私は、引越しの初期費用なんてどこでも似たようなものだろうと考えていました。駅前の明るい大手仲介ショップに入り、清潔感のある担当者にこう言ったのを覚えています。
「初めてなので、手続きなどはお任せします。失礼のないように進めたいです」
今思えば、これは不動産屋にとって「どうぞ好きなだけ上乗せしてください」という白旗を上げているようなものでした。担当者は「承知いたしました。安心してお任せください」と微笑みました。その笑顔の裏で、私の見積書には「不要なオプション」が次々と積み上げられていったのです。
数日後、メールで送られてきた初期費用の概算を見て、私は息を呑みました。家賃7万円の物件に対し、請求総額は50万円を超えていたからです。
「少し高い気がしますが……」と控えめに尋ねる私に対し、彼は淀みなく答えました。
「このエリアの相場ですからね。それに、この物件は非常に人気で、今すぐ申し込まないと明日には埋まってしまいますよ」
この「相場だから」と「時間がない」という二重の心理的プレッシャー。これが、私の思考を停止させる決定打となりました。
消えた20万円の内訳:削れたはずの「ナゾの費用」
では、具体的に何が余分だったのか。後から勉強して判明した、私がドブに捨てたお金の内訳です。
1. 仲介手数料の「満額請求」(損失:約4万円)
当然のように「家賃の1.1ヶ月分(税込)」が計上されていました。当時の私はこれが法律で決まった固定額だと思い込んでいました。しかし、宅地建物取引業法では、原則として仲介手数料の上限は「0.55ヶ月分」です。借主の承諾がある場合に限り1.1ヶ月分まで受け取れるという例外規定を、彼らは「当たり前の顔」をして適用してきたのです。
2. 室内消毒・消臭施工費(損失:約1.7万円)
「入居前にプロが特殊な薬品で除菌します」という説明。実際には市販の消臭スプレーのようなものを数分撒くだけ、あるいはひどい場合は何もしないケースもある項目です。これは強制ではなく、あくまで任意。断ることもできたし、自分でバルサンを焚けば数千円で済んだ話でした。
3. 24時間サポート費用(損失:約1.6万円)
「鍵の紛失や水漏れ時に24時間駆けつけます」という安心を売るサービス。しかし、これと同じ内容は、後述する火災保険の付帯サービスにすでに含まれていました。私は存在すら知らないまま、同じサービスに二重で料金を払わされていたことになります。
4. 指定火災保険への加入(損失:約1.5万円)
不動産屋が差し出してきたパンフレット。2年間で2万円。「これが指定の保険ですので」と言われれば、入るしかないと思いますよね。でも、火災保険は自分で選んで契約してもいいのです。ネットで探せば、同条件で年間4,000円程度の保険はいくらでもありました。
5. 害虫駆除・簡易消火器の抱き合わせ(損失:約1.2万円)
「新築ではないので必須です」と言われた害虫駆除。そして、なぜか見積もりに混ざっていた「簡易消火器」の購入費用。これもすべて任意です。断る余地はいくらでもありましたが、担当者の勢いに押されてしまいました。
6. 退去時の不当な現状回復(損失:約10万円)
被害は入居時だけではありませんでした。2年後、その部屋を出る際、「ハウスクリーニング代」として敷金を全額没収された上、追加で5万円の請求が来ました。ガイドラインでは経年劣化は大家の負担ですが、「特約に書いてありますから」という一言で、私はすべてを諦めてしまいました。
なぜ、私はその場で「ノー」と言えなかったのか
今ならわかります。私が言われるがままになった最大の原因は、相手に「ナメられていた」からではありません。私自身が**「知識という盾」を持たずに戦場に立っていたから**です。
不動産屋さんの言葉に違和感を覚えても、それを論理的に否定する根拠を持っていませんでした。
「法律ではこうですよね?」
「このガイドラインによると……」
その一言が言えないだけで、私の20万円は失われました。
不動産屋は悪魔ではありません。しかし、彼らもビジネスをしています。知識のない客から利益を最大化するのは、資本主義における一つの「正解」でもあります。だからこそ、自分の身を守れるのは自分だけなのです。
私の失敗を、あなたの「知恵」に変えてほしい
20万円。これだけあれば、新しい家での生活はどれほど豊かになったでしょう。欲しかったダイニングテーブル、最新の洗濯機、あるいは引越しのお祝いに大切な人と行く少し贅沢なディナー。そのすべてを、私は「無知」という罪のために失いました。
このブログを書こうと思った理由は、ただ一つ。私と同じような悔しい思いをする人を、一人でも減らしたいからです。
不動産屋さんの前で、見積書をじっと見つめてください。そして、一つでも「?」と思う項目があれば、勇気を出して聞いてみてください。「これは、自分で手配してもいいですか?」と。その一言が、あなたの数万円を守る魔法の言葉になります。
これから引越しを控えているあなたへ
これから、私が必死に勉強して身につけた「絶対に損をしないための交渉術」を順番に公開していきます。
仲介手数料を無料にする方法、不要なオプションを角を立てずに断るメールの書き方、退去時に一歩も引かないための証拠の残し方……。
私の20万円の授業料は、決して無駄にはしません。私がドブに捨てたお金は、今この記事を読んでいるあなたの財布を守るための「知恵」に換えます。
まずは今日、手元にある見積書や、これから行こうとしている不動産屋さんの情報をもう一度見直してみてください。あなたの「違和感」は、きっと正解です。
【今回のまとめ】
- 仲介手数料の「1.1ヶ月分」は決して当たり前ではない。
- 「安心サポート」「消毒代」は断れる任意項目である。
- 火災保険は自分で安いものを選んでいい。
- 知識がないことは、引越し市場では「お金を差し出す」のと同じこと。
【追伸】
引越しの交渉は、いざ本番になると緊張して頭が真っ白になりがちです。不動産屋さんの店頭で、あるいは契約直前のメールを作る時に、すぐにこの内容を思い出せるようにしておいてください。
見失わないように、今すぐこの記事を「いいね」して、あなたの「引き出し」にストックしておくことを強くおすすめします。
そして、あなたがもし「自分もこんな失敗をした」「こんな項目を削ることに成功した」という経験をお持ちなら、ぜひ教えてください。
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