“採用は集客だ”と気づいた中小企業だけが、人材難を脱している理由
「うちも人手不足でさ…求人出してるんだけど、全然来ないんだよね」
ここ数年、中小企業の社長さんと話していて、10人中8人くらいがこう言います。
業種も場所もバラバラ。それでも同じことを言う。
でもね、ちょっと待ってください。
本当に「人がいない」んでしょうか?
それとも「来ない」のではなく、「選ばれてない」だけなんじゃないでしょうか?
そう、実は――
採用って、商品を売るのとまったく同じ構造なんです。
モノを売るとき、「良い商品だから黙ってても売れる」なんて考えないですよね。
売り方が9割。パッケージも大事。広告の打ち方、言葉の選び方、お客さんのペルソナ…。
どれも考えて設計しますよね?
求人も、まったく一緒。
これに気づいてる会社は、面白いほど人が集まってます。
今日は、その秘密をこっそり解説します。
応募が来ないのは「仕事の中身」が悪いからじゃない
よくある話です。
「仕事内容はちゃんとしてるし、ウチは社員思いの会社なのに、全然応募がない」
でも、これって“中身がいいのに売れない商品”とまったく同じ状況なんです。
例えば、あなたがスーパーでジュースを買うとしましょう。
見た目がダサくて、何が入ってるのかもよくわからないパッケージ。
でも店員が「これ、めっちゃ美味しいんです!」って言う。
……買いますか?
たぶん、買わないですよね。
それより、パッケージがキレイで、「果汁100%」「疲れた体に染み渡る!」みたいなことが書いてある方に手が伸びるはずです。
求人も、完全にこれと同じです。
内容がどうこう以前に、「見た目」や「伝え方」で、そもそもスルーされてる。
つまり、応募者の目に止まってない=選択肢にすら入っていないってこと。
「求人票=商品紹介ページ」という視点
ここで視点を変えましょう。
あなたの出している求人票、それはまさに「商品紹介ページ」です。
会社という“商品”を、求職者という“お客さん”に売るためのページ。
にも関わらず、多くの中小企業の求人票はこうです:
- 書いてるのは「仕事内容」だけ
- なんとなくで書いた募集要項
- 「やる気がある人歓迎」みたいなふんわり表現
- 給与や休日などの条件だけ羅列
……それ、お客さん(=求職者)に刺さりますか?
仮に、それが優良企業だったとしても、これじゃ伝わらないんですよ。
もっと具体的に言いましょう。
求人票に必要なのは、「モノを売るときに使う3つの力」です。
- 誰に届けるか(ターゲティング)
- どう見せるか(ブランディング・デザイン)
- どう言うか(コピーライティング)
これ、全部マーケティングの基礎です。
でも、求人の世界ではほとんどの中小企業が使っていません。
だからこそ、今やれば一気に差がつきます。
実際に変わった会社の話
ある製造業の社長さんの話です。
従業員30名ほどの町工場で、ここ数年まったく応募が来ない。
ハローワークにも出してるし、Indeedにも掲載してたけど、電話もメールもゼロ。
で、相談を受けました。
まずやったのは、求人票の“商品化”です。
- 「誰に来てほしいか」を徹底的に明文化(例:20代で、地元で手に職をつけたい人)
- その人が“何に魅力を感じるか”を深堀り(例:安定感、手に職、家族との時間)
- そしてその魅力を見出しに反映(例:「未経験OK/土日休み/家族との時間を大切にできる現場仕事」)
文章のトーンもフレンドリーにしました。
「私たちは、社員の“働きやすさ”と“家族との時間”を両立できる職場を目指しています」
って感じで。
すると、1ヶ月で4件の応募が来ました。
しかも、「なんか他より楽しそうだった」って理由で来た人がいたというから驚きです。
採用の正体は「マーケティング×恋愛」?
ここまで読んで、ちょっとした違和感を感じてるかもしれません。
「うちの求人を商品だなんて…」
「そんな売り込みみたいなことしたくない」
「本当に来る人って、もっと志があるんじゃないの?」
わかります。
でもね、考えてみてください。
あなたが誰かと付き合うとき、その人の「人柄」だけを見て決めましたか?
たぶん、最初は外見とか雰囲気とか、話し方とか、ちょっとした魅力に惹かれたはずです。
中身が大事なのは当然。でも、中身が伝わらなければ意味がない。
恋愛も採用も同じです。
「人が来ない」と嘆く前に
最後にシンプルな問いを投げかけます。
あなたの求人は、「誰」に向けて、どんな魅力を「どう伝えて」いますか?
これが答えられないうちは、「採用は集客だ」という本質には届きません。
逆に言えば、ここが見えてくれば、採用は劇的に変わります。
人手不足の時代に、何も工夫せず「来ない」と嘆くのは、
魚がいない池で釣りをしてるようなものです。
餌を変える? 竿を変える? それとも池を変える?
戦略はいろいろありますが、まずやるべきは「そもそも売れてる求人は何が違うのか」を知ることです。
あなたの会社も、“採用マーケティング”を始めてみませんか?
社員が来ないのは、あなたの会社が悪いからじゃない。
伝え方が、少しだけ足りてないだけかもしれませんよ。
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