「おつりだよ」と言われてキャンディー2つ渡された話
精神科病棟で働いてると、
いろんな患者さんに出会うんです。
統合失調症って診断名がついてても、
その人その人で全然違うんですよね。
中には、
もともと知的な特性を持ってる方もいて。
あの日のできごと
ある日、
一人の患者さんが
近くのお店にジュースを買いに行ったんです。
彼は統合失調症の診断だけど、
知的な特性も持ってる方でした。
しばらくして帰ってきた時、珍しく怒ってたんです。

「どうしたの?」って聞いたら、
「おつりだよってわたされた!」と
手にはジュースと一緒にキャンディーが2つ。

実はこのこと、今まで黙ってたんですよ…。
あまりにも続いたから、さすがに怒って帰ってきて、
初めて私たちに言ったんです。
私たちスタッフは「えっ?」って。
だって明らかにおかしいし、
馬鹿にしてるじゃないですか!

患者さんだけじゃなく、
私達もショックと怒りが・・・💢
だったら、
もんくを言いに行けばいいのに!って思いますよね?
その話は、またの機会に・・・。
どうしようもない現実
もちろん、その店には行かないようにって
集会の時に、全員に話しましたよ。
でもね、
現実問題として近くにお店がそこしかないんです。
患者さんたちの行動範囲って
限られてて(体力的にも金銭的にも)、
選択肢がないというのが現実でした。
歯がゆいったらありゃしない。
世の中恐ろしいなって思った
この出来事で本当に
「世の中恐ろしい」って思いました。
「この人なら分からないだろう」
「適当にごまかしても大丈夫」
って思われてるんですよね。

それって明らかに人として扱われてないでしょ?
精神的な病気があったり、
知的な特性があったりする人に対して、
こういうことが平気で行われてる。
悲しいし、腹立たしいし。
でも変えられるはず
医療現場で働いてると、
患者さんから本当にいろんなことを学ばせてもらってます。
みんな一人ひとり違うし、それぞれに尊厳がある。
こういう理不尽なことがあるたびに思うんです。
私たちだけでなく、
地域で一人ひとりが意識を変えることで、
少しずつでも社会って変わっていくんじゃないかって。
私たちに残されている偏見払拭のチャンスって、
高校生が看護師1日体験に来る時と、
看護実習生が来る時なんです。

その時に実際の患者さんと接してもらって、
病棟の雰囲気を感じてもらう。
看護師と患者さんの信頼関係を見てもらう。
たいてい感想には
「怖いと思っていたけど、みんな明るくて優しかった」
「アットホームだった」って書いてくれるんです。
この看護師の卵さんたちを通して、
偏見が少しでも払拭できたらいいなって思ってます。
最後に
誰もが安心して生活できる社会になってほしい。
そう願いながら、今日も働いています。
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