【確定申告】医療費控除って何が含まれる?今からレシートを整理して得する準備術
確定申告で「還付金」を手にするための第一歩
2月に入り、確定申告の足音が近づいてきました。多くの人にとって、この時期の申告準備は「面倒な事務作業」と感じられるかもしれません。しかし、特に「医療費控除」に関しては、考え方を少し変えるだけで、その作業が楽しみなものに変わります。
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、その超過分を所得から差し引くことで所得税を安くし、さらに住民税の負担も軽減できる制度です。いわば、予期せぬ疾病や怪我による家計の打撃を国がサポートしてくれる「税金の払い戻し」です。この払い戻しを、頑張った自分への「臨時ボーナス」と捉え直してみましょう。
成功のコツは、申告期間の直前に慌てるのではなく、今の時期から賢く準備を始めることです。本記事では、意外と知られていない制度のボーダーラインから、対象となる費用の範囲、そしてレシートの山を爆速で整理する実務テクニックまで、余すところなく解説します。
10万円だけじゃない!医療費控除を受けられる意外なボーダーライン
医療費控除といえば「年間10万円以上の支払いが必要」というルールが有名ですが、実はこれはすべての人に当てはまるわけではありません。この基準には、所得金額に応じた「もう一つのルール」が存在します。
所得200万円以下なら「所得の5%」超えでOK
医療費控除が適用される基準額は、正確には「10万円」と「総所得金額等の5パーセント」のうち、いずれか低い方の金額です。つまり、年間の所得が200万円未満の方であれば、医療費が10万円に達していなくても、所得の5%を超えた金額から控除を受けることができるのです。
例えば、年間の所得が150万円の方の場合、基準額は7万5,000円になります。この場合、1年間で支払った医療費の合計が8万円であれば、差額の5,000円が控除の対象となります。パートタイムで働いている方や、年金受給者の方、あるいは育休などで1年間の所得が低かった方などは、10万円という数字に縛られず、自分の所得から計算してみることが大切です。
セルフメディケーション税制とどちらを選ぶべき?
医療費控除の「特例」として、2017年から「セルフメディケーション税制」という制度も導入されています。これは、健康維持のために特定の市販薬(スイッチOTC医薬品)を購入した際、年間1万2,000円を超えた金額が控除される仕組みです。
通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は「選択適用」であり、同じ年に両方を同時に利用することはできません。どちらが得かを見極める基準は、病院での治療費と市販薬の購入額のバランスです。
・病院代や入院費が多く、合計が10万円(または所得の5%)を超える場合は「通常の医療費控除」
・病院にはあまり行かなかったが、特定の市販薬を家族で年間1万2,000円より多く購入した場合は「セルフメディケーション税制」
一般的に、医療費の総額が18万8,000円を超えるようなケースでは、通常の医療費控除を選んだ方が還付額は大きくなる傾向にあります。レシートを整理する段階で、病院代の束と薬局代の束を分けておくと、どちらが有利か判断しやすくなります。
意外と知らない医療費控除の範囲!通院費や市販薬も対象に
「これは医療費に入るの?」と迷う項目は意外と多いものです。控除の対象は「治療のために直接必要だった費用」という視点で分類されます。
対象になるもの:医師の治療・市販の風邪薬・交通費
まず、病院での診療代や処方箋による薬代は当然対象となります。さらに、以下の費用も忘れてはいけません。
・ドラッグストアで購入した風邪薬、胃腸薬、鎮痛剤、傷薬など
・通院のために利用した電車やバスの交通費
・歯科での歯列矯正(子供の成長を阻害しないためのものや、噛み合わせの治療目的など)
・不妊治療の費用(人工授精、体外受精、医師が処方した薬剤など)
特に交通費は、領収書が出ないことも多いですが、家計簿やカレンダーに通院日と経路、往復運賃をメモしておけば明細書に記載して申告することが可能です。ただし、自家用車で通院した際のガソリン代や駐車場代は対象外となるため注意が必要です。タクシー代についても、病状が重く公共交通機関を使えない場合や、深夜・早朝の急病といったやむを得ない事情がある場合に限り認められます。
対象外のもの:予防接種・美容整形・サプリメント
一方で、どれだけ高額であっても医療費控除の対象にならないものもあります。これらに共通するのは「病気の治療」ではなく「予防」や「美容・健康増進」が目的であるという点です。
・インフルエンザなどの予防接種
・健康診断や人間ドックの費用(ただし、診断の結果重大な疾患が見つかり、引き続き治療を受けた場合は対象になります)
・美容整形や歯のホワイトニング
・健康維持や予防のために購入したサプリメントやビタミン剤
・自分自身の都合で利用した入院時の差額ベッド代
このように「治療」の一線がどこにあるかを理解しておけば、レシートの仕分け作業で迷うことがなくなります。
領収書の山を爆速で片付ける!効率的な整理と申告のテクニック
確定申告を目前にして、溜まったレシートの山に立ち尽くす……そんな事態を避けるための「爆速整理術」を紹介します。
封筒とクリアファイルで「月別」に分けるだけ
プロの税理士も推奨する最も効率的な方法は、一枚ずつノートに貼るような丁寧な作業をしないことです。領収書を「誰が」「いつ」支払ったかさえ分かれば、それで十分なのです。
100円ショップなどで手に入る封筒を12ヶ月分用意し、1月、2月……とラベルを貼ります。あとは、財布から出したレシートを該当する月の封筒に放り込むだけ。これだけで、集計時の作業効率は劇的に上がります。さらに、封筒の中で「夫」「妻」「子供」と人ごとにクリップで留めておけば、申告書への入力時に思考を止める必要がありません。
なお、確定申告で領収書の現物を提出する必要はありませんが、申告から5年間は自宅等で保管する義務があります。この月別封筒をそのまま保管箱に入れておけば、万が一税務署から確認を求められた際もすぐに対応できます。
マイナポータル連携とe-Taxで入力を自動化
デジタル技術を最大限に活用すれば、そもそも「入力作業」そのものを大幅に削減できます。国税庁のe-Taxとマイナポータルを連携させると、健康保険を利用した診察や薬のデータ(医療費通知情報)を自動で取得し、申告書に反映させることができます。
これを利用すれば、病院代の一件一件を手入力する手間が省けるだけでなく、計算ミスも防げます。家族分のマイナンバーカードがあれば、事前に代理人設定を行うことで、配偶者や子供の医療費もまとめて一括取得することが可能です。
ただし、注意点が一つあります。マイナポータルで自動取得できるのは「保険診療分」のみです。ドラッグストアで購入した市販薬や、領収書のない通院交通費、保険適用外の自由診療などは自動では反映されません。これらの項目だけを事前にピックアップして集計しておき、自動取得したデータに追加入力するのが、現代における「最短ルート」の申告術です。
2月の30分が、3月の自分を救う
確定申告の期限が迫る3月、税務署の窓口や混雑したオンラインサイトで四苦八苦するのは精神的なストレスも大きいものです。しかし、2月の今の時期に30分だけ時間を確保して、レシートの封筒仕分けやマイナポータル連携の初期設定を済ませておけば、本番の申告は驚くほどスムーズに終わります。
医療費控除は、私たちが支払った大切なお金の一部を取り戻し、これからの健康管理に役立てるための権利です。生計を一にする家族全員分の医療費を合算できるというルールを活かし、最も所得税率が高い人が代表して申告することで、世帯全体の還付額を最大化することもできます。
「自分は10万円を超えていないから関係ない」と決めつけず、まずは手元の封筒を確認してみてください。所得に応じたボーダーラインや、家族全員の市販薬・交通費まで含めて計算してみると、意外な「ボーナス」が眠っているかもしれません。賢い準備で、健やかな3月を迎えましょう。
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