ハイスペか地雷か?転職回数の多い人の“見えにくい真価”の話
転職回数が多い人って、ちょっと怖くないですか?
履歴書を開いて、ずらりと並ぶ会社名に「多くない?」と感じたこと、一度はあるはず。採用面接の場で、経歴の変遷を聞いていくうちに、どこかで「また辞めるんじゃ…」という懸念が頭をよぎる。
採用って、まるで“結婚より重たい恋愛”みたいなもの。相手の全てを知る前に、長い付き合いを前提とした契約を結ぶ。そのプレッシャーの中で、「転職5回」とか「1社1年未満が複数」とか書いてあったら、そりゃビビりますよね。
でも、ちょっと視点を変えるだけで、この“転職回数の多い人”たちは、実はとんでもないポテンシャルを秘めていることもある。
今日はそんな話をしたいと思います。
キャリアが多いのは、逃げなのか、挑戦なのか
あなたが釣り人だったとして、毎日同じ川で釣れないまま10年過ごす人と、10本の川を回って釣れる場所を見つけた人、どちらに興味を持ちますか?
転職も同じ。転職回数が多い人は、往々にして「環境が合わなかった」「上司との考え方が違った」「自分の成長が止まった」などの理由で動いている。そしてその動き方こそが、“自分のエネルギーの出し方”を試行錯誤してきた証でもある。
厚生労働省のデータによると、2023年の転職者数は約351万人。平成初期の約2倍になっています。とくに20代~30代の若手層では、「転職=成長の一環」として捉える風潮が定着しつつあります。
実際、リクルートワークス研究所の調査でも、「30代前半で3回以上の転職を経験している人材」は、即戦力として評価される傾向が年々強まっているというデータも出ている。
つまり、「転職回数が多い=地雷」という発想自体が、そろそろ時代遅れなのかもしれません。
実際にいた、転職歴5社の“即戦力社員”
あるとき、うちの会社に応募してきた30代前半の男性がいました。履歴書には、5社の名前が並んでいて、最短の職歴は8ヶ月、最長でも3年ちょっと。ぱっと見たときの印象は正直、「すぐ辞めるタイプかもな」というものでした。
でも、面接を進めていくうちに、空気が変わった。
彼は、自分の失敗談を包み隠さず話しながらも、それぞれの転職に「明確な意図」と「成長の軌跡」があった。
ある会社ではマネジメントが全く機能しておらず、自分が主導してチーム再構築をしたけど、経営方針と真逆の方向性を求められて辞めた。
別の会社では、売上は上げられたけど、社内の古いルールと衝突していた。
すごかったのは、全部を“他責”にしていないこと。
「自分が未熟だった点」「もう少しこうすべきだった点」も冷静に分析していた。
そして、彼は入社3ヶ月で数字を倍にし、半年後にはマネージャーになりました。
「転職回数が多い=問題のある人材」というレッテルだけで見ていたら、この人を絶対に採れていなかった。
数字が示す“転職経験者の強み”
「転職歴が多い人=問題児」という印象が根強いのは事実。でも、客観的に見ても、転職回数が多いからといって“仕事ができない”わけではありません。
例えば、エン・ジャパンの2022年の企業調査では、「転職回数が3回以上の人材でも“成果を出している”と感じたことがある」と答えた採用担当者は全体の74%にのぼっています。
また、「転職経験者は新しい環境への適応が早い」「前職との比較によって、改善提案ができる」と評価される傾向もある。
特に中小企業の場合、大手からの転職組がもたらす“新しい視点”はめちゃくちゃ貴重です。社内にないスキルや考え方を持ち込んでくれるし、「このやり方、変えたほうがいいんじゃないですか?」と提案してくれる勇気がある人も多い。
つまり、転職回数の多さは、「異文化適応能力」と「変化耐性」を表すパラメーターでもある。
即戦力とは、経験ではなく“自律性”である
多くの経営者が「即戦力が欲しい」と言います。けど、ここでいう即戦力って、どんな人材を指しているのでしょう?
・研修なしで即営業に出せる人?
・部下を育成できるマネージャー?
・戦略を立てて動けるマーケター?
どれも正解。でも、共通して言えるのは、「自分で考えて、主体的に動ける」こと。
そしてそれは、“職歴の長さ”や“転職の少なさ”では見えてこない。
僕がこれまで関わってきた中で、最も活躍している人たちは、
「何度も失敗して、でもそのたびにちゃんと反省して、やり直してきた人たち」でした。
ゲームで言えば、チュートリアルでずっとレベル上げしてるプレイヤーより、ボスに挑んで負けて、試行錯誤して攻略法を掴んできたプレイヤーの方が、実戦では頼れる。
転職回数が多い人は、言ってみれば“現場で戦ってきたプレイヤー”。
多少の傷はあっても、骨太で、打たれ強くて、試行錯誤の仕方を知っている。
転職回数は“履歴”でしかない。本質は“意図”にある
履歴書に並んだ社名の数は、ただの事実。
その人が、なぜ動いたのか。何を得て、何を学び、何を反省してきたのか。
そこにこそ、“人材の本質”がある。
面接で「また辞めませんか?」と聞く前に、「なぜ前職を辞めたのか」と「今度こそ実現したいことは何か」を聞いてみてください。
本当に価値ある人は、ちゃんと“言葉”を持って答えてくれる。
曖昧にごまかしたり、「全部会社のせいです」と言う人は、要注意かもしれませんが…。
人を見る目というのは、情報の“数”ではなく、“深さ”で磨かれます。
あなただったら?
あなたの会社に、転職歴5回の応募者が来たとします。
あなたはどう思うでしょう?
「すぐ辞めそうだな」と思って面接を終えますか?
それとも、「何が彼を動かしてきたのか」に興味を持ちますか?
その視点の違いが、会社の未来を左右するかもしれません。
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