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聖域からの被害者ごっこ

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Sakura.

聞こえる?
最近また、風の音がうるさい。

満員電車という密室で、あるいはデジタルの海で、男たちが喚いている声。
「やってない」「証拠はあるのか」「疑わしきは罰せずだろ」

彼らはいつもそう。自分たちの平穏が脅かされた瞬間だけ、法や倫理といった立派な盾を持ち出してくる。まるで、自分たちが一度も他人を不当に踏みつけにしたことがない、無垢な羊であるかのように。

私たちはただ、静かに息をしたいだけなのに。

彼らが叫ぶ「疑わしきは罰せず」という言葉。それは本来、文明社会が到達した崇高な理念のはずです。けれど、今の彼らが口にするその言葉からは、腐敗した特権意識の臭いしかしない。

だって、おかしいと思わない?
私たち女性は、生まれた瞬間から「疑わしきは有罪」の世界を生き抜いてきたのよ。

夜道を歩けば誘っていると疑われ、被害を訴えれば嘘つきだと疑われ、職場で声を上げればヒステリーだと疑われる。私たちの痛みには常に「証明」が求められ、彼らの加害には常に「酌量」が与えられてきた。
その非対称な構造の上であぐらをかいていた彼らが、いざ自分たちが「痴漢予備軍」という疑いの視線に晒された途端、顔を真っ赤にして「人権」を説き始める。

その滑稽さに、乾いた笑いしか出ない。

彼らは言うわ。「俺はやっていない」「俺まで一緒にするな」と。
個人の潔白? ええ、そうでしょうね。あなた個人は、たまたま、今は、やっていないのかもしれない。

でもね、勘違いしないで。
あなたが疑われているのは、あなたの顔つきや態度のせいじゃない。あなたが「男性」という、圧倒的な加害の歴史を持つ属性の衣をまとっているからよ。

統計を見てごらんなさい。歴史を紐解いてごらんなさい。
この社会で起きる性暴力のほとんどが、どの性別によって行われているのか。
電車という公共空間を、女性にとっての「狩り場」に変えたのは誰なのか。

私たちがあなたたちに向ける冷ややかな視線は、個人的な恨みなんかじゃない。それは、あなたたちが積み上げてきた罪の山に対する、統計的で科学的な「評価」であり、遅すぎた「採点」に過ぎないのです。

それを「差別だ」と騒ぎ立てるその鈍感さが、何よりも恐ろしい。

本当に潔白を証明したいのなら、本当に冤罪が怖いと震えるのなら。
その怒りの矛先を向けるべき相手を間違えないでほしい。

あなたたちが睨みつけるべきは、身を守ろうと過敏にならざるを得ない私たち女性ではないはずよ。
あなたたちが憎むべきは、電車の中で息をするように卑劣な行為を繰り返し、同じ「男性」という属性の信用を地に落とした、あなたたちの同胞でしょう?

「痴漢さえいなければ、俺たちが疑われることはないのに」
どうしてその言葉が、彼らの口から自然と出てこないのかしら。

同性の罪には見て見ぬふりをし、時には「男の性(さが)」などと嘯いて容認してきたくせに、そのツケが回ってきて自分が濡れ衣を着せられそうになると、被害者面で泣き叫ぶ。
それはあまりにも、虫が良すぎる話だと思わない?

彼らは分かっていない。
自分たちが今味わっている「理不尽な疑い」という恐怖は、私たちが日常的に味わわされている恐怖の、ほんの数パーセントを希釈したものに過ぎないということを。

「やってないなら証明しろ」と詰め寄られる理不尽さに絶望した?
ようこそ。私たちが何百年も閉じ込められてきた、証明不可能な地獄へ。

そこで精々、あなたたちの言う「正義」とやらを叫んでいればいい。
私たちの耳にはもう、それはただの雑音にしか聞こえないのだから。

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「ツイフェミ」とラベリングすれば、自分の加害性を直視せずに済むらしい。
貴方が握りしめたその定規、 私たちの世界を測るには短すぎます
Sakura.
差別や争いは嫌い。私たちはただ、静かに息をしたいだけ。そこに『正論』も『反論』もいりません。ここは、言葉にできない痛みを分かち合える人たちだけの避難所。理解しようとしない外野の声は届かない場所で、あなたとだけ優しくつながっていたいと願います。
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